Googleが、Google I/O にてついに“Google TV”を発表した。
Google TV のプロジェクトを率いてきた Vincent Dureau とは、まだ僕がGにいたときにマウンテンビュー、および東京でなんどか会っているが、テレビビジネスとそのテクノロジー、日本含む各マーケットについても非常に詳しかった。 それもそのはず、彼はあの”OPEN TV”のCTOだったのだから(なので今回の最初の提携先群は彼の過去と結びついている)。
※ Vincentは3年も前にもTechCrunchのインタビューに出ているが、そこで語られたことは「Google TV」のこれから、をイメージできるだろう。
OPEN TV は96年にSFに設立された、iTV の先駆け。当時は Smart TV という言葉も”ポスト・ニューメディア”的な位置づけで語られた時代で、ジョージ・ギルダーの『テレビの消える日』が新しい「テレビ」の時代を予言していた。
テレビがただ「見る」だけのものからより”能動的な”オーディエンスを生み出す時代が来る、というのは、チャンネル・ザッピングするオーディエンスの増加、さまざまな動画記録媒体の登場によって、90年代から言われてきたサブジェクトである。それがついに登場する。
一方、Googleはテレビの広告収入を狙っている、というが、これはその字句どおりではないだろう。 むしろ次のように考えたほうがよいと思う。
1)検索行為はテレビによってスパイクするということをGoogleは理解している >>>検索行為の刺激剤としてもテレビを活用したい
2)Google TVに搭載される(であろう)広告枠は、従来のテレビ広告枠とは違うはず >>>テレビに関連する”新しい広告枠”の開発
3)検索やユーザー行動に合わせた広告枠は、相当数に広告主がいないと”埋まらない”ことを理解している >>>GoogleはAdWordsを通じて、ユーザーの行動・興味にあった広告が成立するには相当数に広告主がいないとマッチングしない。よって既存のテレビ広告主の市場とは少し違う市場になるはずだ。
ただ、一方で、このSTB(あるいは同等の機能の内蔵)の位置づけでの強い競合は実質いない。 Operaがもっとも近いが、彼らのプロダクトとは少し違うし、GoogleTVは共創することはあっても競合するものではない。
あと、オーディエンスにとって、豊かなテレビ体験を生み出すという意味では素晴らしいプロダクト。 もちろん3Dもすばらしい。しかしそれは「視聴経験」を変えるものであって「視聴行動・態度」を変えるものではない。
GoogleTVがもたらすのは、単なる”Audience”から、”User”へとテレビ視聴者を変化させることだろう。