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MSFT"Bing"のキャンペーンに見る、正しい”競合”の仕方と、今後の検索市場の可能性について。

■マイクロソフト、グーグルに直接対抗しない「Bing」キャンペーンを開始

「Googleはいまや、動詞となった。これは事実で、GoogleはTV番組で取り上げられており、検索広告にお金を払う必要はなくなった
“Now, Google is the verb. It’s on TV shows ― that just happens and Google doesn’t have to pay for placement
Microsoftは今週、多くのユーザーが検索を利用する際に感じている「潜在的な不満」を表面化することを狙った広告キャンペーンを開始する。その後、検索エンジンが返すあいまいでしばしば関連のない回答と、家族に質問をするとちぐはぐな答えが返ってくるようなシーンとを関連付け、「検索過量投与症候群」にフォーカスしたシリーズ広告を展開する。7月には、「Bing Travel」「Bing Shopping」「Bing Health」など、個々の製品に特化した広告を流すという。
Microsoft is starting the campaign this week with a series of ads that it hopes will surface “the latent dissatisfaction” that many users are experiencing when they search. Microsoft then plans to roll out a series of ads that will focus on the theme of the “search overload syndrome” by likening the vague and often unrelated answers that search engines currently yield to the kinds of answers people typically get when asking family members specific questions. In July, Microsoft will begin to air more product-specific segments focusing on Bing Travel, Bing Shopping, Bing Health and other specific vertical segments.
Microsoftはまた、ユーザーの口コミを構築するために製品のファンベースの増加も図る。現在、Bing専用のFacebookページを開発中で、Twitterでも「tweet and decide」というキャンペーンを展開する。そして、メンバーがその日のBing.comのホームページデザイン向けの写真を提出し、コミュニティが投票するというコミュニティプログラムも用意するという。
Microsoft also is trying to build consumer buzz around Bing by creating more of a “fan base” for the product. The company is developing a Facebook page for the engine, launching a “tweet and decide” Twitter campaign and building a community program via which members can submit photos for consideration for the day’s Bing.com home page design, which will be voted on by the community.
Tiedt氏によると、MicrosoftがBingのマーケティングで絶対にしないことは、「検索市場のナンバー1とナンバー2(GoogleとYahoo)を攻撃すること」という。
One thing Microsoft won’t be doing when marketing Bing is attacking the No. 1 or 2 competitors in the market (Google and Yahoo), she said.
「われわれが挑戦するのは、検索の問題だ」とTiedt氏。「多くの人々がGoogleを利用していることを考えると、キャンペーンは間接的にGoogleに対抗するものとなる」(Tiedt氏)。
“We are attacking the search problem,” Tiedt said. “But given most people today are using Google, (the campaign) is indirectly against Google.”


このマーケティング戦略は正しいと思うなあ。
※プロダクトがそれに追いつけるかどうかはまた別の問題としてあるものの。

例えば日本だと、「No.1のYahoo!Japanに追いつくために、Google JapanはY!Jとのギャップを埋めます!」なんてキャンペーンやったらほんとバカっていうか、マーケティングコミュニケーションとプロダクトマーケティングの素人かっ!って思うもの。

市場におけるポジショニングっていうのは、実は競合との製品差別を、消費者(利用者)の視点から見た価値の差別化という視点で行うものであって、“ポジションを同じくしよう”というポジショニング戦略立てるのは、よっぽどの自信家かバカでしかない。

消費者から見た価値をきっちり差別化でき、しかもしれが単なる“差別化”ではなく、新しい価値を提供できるのであれば、それはブルーオーシャンにもなりうる。

Bing のキャンペーンは、検索エンジンの機能の“差別化”と「意思決定エンジン」というメッセージに現れるような検索市場における“ブルーオーシャン”の両方を見ているような気がするな。

特に検索エンジンっていうのは「何かを調べたい」っていうintentionが起こったときに”のみ”使われるわけだけれども、Bingがやろうとしているバーチカルな検索市場っていうのは、その「何かを調べたい」の回数を増やすことにつながる可能性もある。言い換えれば、検索エンジンがある領域(vertical)を準備することは、その存在自体が「調べるキッカケ」になる可能性がある(町中にゴルフショップがあったら、何も買う”目標物”が無かったとしても、ふらっと立ち寄っちゃうってのに近い。

※なので、日本の Bing では Bing の本性はまだ見れませんね。やっぱりバーチカル検索があったりするところも重要だと思うので。

ちなみに Bing の TVCM はこちら。これまでのMSFTっぽくない、ユーザーに近い視点でのクリエイティブになってる気がします。

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