ソニー、ブランディング目的のネット広告で戦略転換 日経デジタルマーケティング.
この記事が話題なので。
DSP・オーディエンスターゲティングで枠を買うようになると、メディアの価値はどうでもよくなってしまうので、結果として広告枠の単価を下げざるを得ないことになって、媒体側は大変になってしまうというシナリオもありうるわけで。メディア側はオーダーに対して閾値を自社メディアの価値を毀損しない範囲で設定し安いものについては拒否する、あるいは、売れない枠/売れ残り枠についてはオープンにしてしまってインベントリのセルスルーを上げる、ということをしなくちゃいけないので、SSP側が結構重要なんだよな。
そのへんについては記事も少ないし、そのためそのことを理解してない人が多いから、広告主側の動きばかり見て「すげー。時代はこれだ!爆速だ!萌え!」な人が結構いるわけさ。でもね、実際は広告主が”オーディエンス”ターゲティングできる相手だって、それは媒体が集めた結果なわけですよ。媒体がにっちもさっちも行かなくなったら、”オーディエンス”ターゲティングなんてうまくいかないわけですよ。このあたりは、ビヘイビアターゲティングのあたりから自明なことですよ。
つまりは、広告業界というのは、ユーザーと媒体社と広告主のエコシステムから成立してるわけで、それぞれがハッピーでないと成立しないわけ。間に入ってビジネスをするDSP業者やSSP業者や広告代理店には相変わらずこのあたりがわかってない人が多くて、悲しくなりますよ。
広告主が枠を安く効率的に買える可能性があるからいいじゃん、って思うかもしれないけど、それは代理店のコミッションビジネスを崩すかもしれないし(ここ自体は悪くないけど、自覚してなかったりするかもね)、そもそも媒体社の実入りが少なくなる可能性もありえる、ってことを理解しておいてほしいよな。つまり、DSP/SSP・DMP・オーディエンスターゲティングが揃った時の「媒体ビジネスってどうなるのよ?」って観点から考えないと、みんな共倒れする可能性だってあるんだよ。