LeadInは、お金をかけたくないスタートアップや小規模企業のための、インバウンドマーケティングの「入門編」ツール
HubSpotの年次イベント『INBOUND2015』にて発表された"LeadIn"。
実際は WordPress のプラグインとしてこっそりと発表されていたものですが、ついにオフィシャルに登場。
この"LeadIn"は、「HubSpotのもっとも安いバージョンは月額200ドル。でもスタートアップや小規模企業ではそれすら高い。インバウンドマーケティングのムーブメントをみんなに共有するためには、そういう人たちのためのものも必要。」というコンセプトで紹介されていました。
この"LeadIn"でできることは次の通り。
- WordPressやその他のサイトに「メールニュースの登録」のポップアップを出すことができ、登録者をデータベース化してくれる。タダで。
- 登録者がサイト内のどのページを見ているかを把握することができる。タダで。
- 登録者のソーシャルプロファイルや会社のURLが登録情報に自動追加される。タダで。
といったことができるツールで、また、
- MailChimpなどのメールツールと連携することができる。多くの場合タダで。
というのも特徴です。
では、追って説明をしていきましょう。
WordPressやその他のサイトに「メールニュースの登録」のポップアップを出すことができ、登録者をデータベース化してくれる。タダで。
インバウンドマーケティングは「サイトに人を呼び寄せるもの」とだけ考えられがちですが、それは部分的に正しいですが、実際は正しい理解ではありません。HubSpot の Inbound Marketing Methodology によれば、それはインバウンドマーケティング全体の一部に過ぎず、実際は、サイトに人を呼び込むこと、サイトにきた人を見込客(lead)に変えること、顧客化すること、といった全体のプロセスを指すようになってきてます。
インバウンドマーケティングのプロセス的には、「Visitors」を「Leads」に変えるというのがまず大事なこと。「Leadsに変える」すなわち「見込客としてコンタクトデータベースを作る」ということがないサイト、つまり、メールアドレスを預からせてもらえるきっかけを持たないサイトは、”見込客リスト”というマーケティング資産を作ることができないということで、どんだけサイトのPVを持っていたとしてもマーケティング機能を果たしていないに等しいのです。
※このあたりについては、拙著『インバウンドマーケティング』をお読みください。
さて、LeadInは既存のサイトに、ポップアップ形式のメールニュース登録フォ−ムを”タダで”設置することができます。そしてそこで入力された内容はLeadIn上で登録者リストとして管理することができるようになります。
あ、この記事をちょっと先までスクロールしてもらえますか?
そしたら右下に何か出てきませんか?
そうそれがLeadInによるポップアップ型のメールニュース登録フォームです。
もちろんこのブログにはすでに設置済みということです。
[caption id="attachment_3344" align="aligncenter" width="500"] ↑これです。 同じものが左に出てますか?[/caption]
このポップアップを出現させる場所は画面上部、画面右下・左上、画面の真ん中と選ぶことが可能です。
そしてここで登録された内容は、LeadIn上にメールニュース登録者として保存され、メール配信を行う際のリストとして管理することができるようになります(タダで)。
このポップアップ入力フォームをサイトに設置するには、こちらのページから、WordPress Pluginかあるいはembed codeを手に入れて、LeadInに登録するだけ。5分もあれば設置できてしまうでしょう。
スタートアップにとっては、サイトやブログを訪れた人々とコミュニケーションの機会を得るチャンスです。なので、「このサイト(ないしはブログ)の情報は読みたい」、「この会社のアップデートを知りたい」という気持ちになってもらうことが、サイトやブログのコンテンツを作る上で大事なのは言わずもがなですが、そこからメールニュースに登録してもらって、見込客化することができれば、積み重ねで大きなマーケティング資産となっていきます。それが無料で使えるわけですから、使わない手はないですよね。。
登録者がサイト内のどのページを見ているかを把握することができる。タダで
メールニュース登録してくれた人がその後、自分達のサイトをどのように見てくれるかを把握することができれば、その人々に適切な情報を届けるきっかけができます。
例えば、ブログのコンテンツ内でどのようなコンテンツをよく見ているか、もしサイトであれば、サイト内の価格のページを見ているのか、ケーススタディのページを見ているのか、など。どこを見ているかというのはその人の興味関心の表れなので、それに応じたコンテンツを提供することができれば、サイトの再来訪を見込むことができます。
で、このような見込客などのサイトのアクティビティを把握するツールというのは、主に高価な「マーケティングオートメーション」で実装されている機能でした。それゆえ、スタートアップや小規模企業にとっては Too Much! なものだったかもしれません。しかしこれがタダで使えるという。。。とんでもないですよ、これは。もちろんパーミッションをベースにしているので、このあたりはちゃんとしなければいけませんが。
あと、あくまでも「インバウンドマーケティング」の考え方で使うことをしなければ、単なるストーカーになってしまうので、相手に応じた対応をする、コンテンツを作るためのものとして使って欲しいと思います。
登録者のソーシャルプロファイルや会社のURLが登録情報に自動追加される。タダで
次の機能は、登録してくれた人のプロフィールを自動追加してくれるというものです。これは米国の他のツールでいうと、LinkedInが買収した"Rapportive"に近く、メールアドレスから会社情報やソーシャルメディアのプロフィールなどネット上に公開されてる情報を収集し、統合してくれます。この情報から、こちらから相手をフォローしたりすることができますね。いわゆるエンゲージメントでしょうか(笑
ちなみにここにサンプルとして写っている Josh PorterはHubSpotのUX/UIデザイナーで、過去のINBOUNDのセッションでインバウンド観点からのUXデザインの話を聞かせてくれました。
MailChimpなどのメールツールと連携することができる。多くの場合タダで。
LeadInは、フォームを作ること、リストを管理することはできますが、メールの配信はできません。でも、もっとも普及しているメールサービスの一つ、MailChimpなどと連携が可能です。
ちなみにMailChimpは2000人分のコンタクト数までであれば”永久無料”をうたっています。スタートアップや小規模企業にとっては十分な数でしょう。また、ブロガーがこのツールを使って、読者マネジメントをするという手もあるかもしれません。
※追記)この作業はLeadInからのフォームをサイトやブログに表示させる前に設定をしましょう! というのも、LeadInのコンタクトリストからMailChimp側へのプッシュ(一方向Sync)は、過去のものについては実行されず、新しくフォーム入力されたものにしかMailChimp側に引き渡されないからです。
MailChimpとの連携は至極簡単。
WordPressであれば、LeadInのインストール後にPlugInの設定画面を開いて、"Email Sync"という箇所を探します。
そこに"MailChimp API Key"というリンクがあるので、それをクリックすれば、MailChimpのログイン状態であればそのままAPI Key取得画面に行き、そのまま設定が可能になります。
このあとMailChimpのほうで、LeadInからのリストを受け取る"List"という設定をすれば、これで、LeadInが WordPressとMailChimpを連携させ、プチ・マーケティングオートメーション、プチ・インバウンドマーケティング、プチ・CRMを実現。
このMailChimpも無料の範囲で使ってしまえば、WordPressのホスティング費用程度でそれ以外は無償で利用できます。
そしてそこからビジネスが大きくなってきたとき、マーケティング予算が使えるようになったときには、HubSpotのようなツールに移行すればよいわけです。
いかがでしょう?
簡単に設定でき、無料、しかもマーケティングの資産を集めてくれる、ということで、スタートアップや小規模企業の方であれば使ってみない手はないんじゃないでしょうか。
もちろん、これだけでは足りない、もっとちゃんとマーケティングオートメーションやインバウンドマーケティングをやりたい、という方は、HubSpotのパートナー代理店であるスケダチの方にご連絡いただければと思います。
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