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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

ビジネスにおけるフェアネス。コンテンツマーケティングにおける”パクリ”問題。

ビジネスは競争の世界であるものの、そこに「フェアであるか」、「フェアでないか」という姿勢や態度は存在すると思います。

五輪エンブレム騒動で「盗用」か否かというのが話題になりましたが、この「盗用」問題については、未だブームの最中にあるキュレーションメディアやコンテンツマーケティングにおいても大きな課題だと思っていて、コンテンツの無断借用・盗用というのは結構見かけます。

一方、インターネットというものは、ハイパーリンクで構成され、コンテンツの引用はなされて当然である、ということもまた真実だと思います。 しかしながらそれは「フェア」な使われ方をした場合、という前提付きではないでしょうか。

例えばキュレーションメディアが、国内・海外記事の無断盗用やソーシャルメディア上のコンテンツを借用することをしているのが嫌われるのは、それは「人様のものを使って」広告収益をあげようとする態度にあるのであって、この場合「人様のものを使って」というのは、自分たちで身銭を切らずにとか自分たちで作らずに、とか、そういうものだと思います。

つまり、他人が作ったコンテンツについては、その背景には人的ないしは金銭的コストがかかっているのであり、それを無断で借用するのであれば、それは他人の財産を横から拝借しているのと同じことになる、ということです。

(特に狭義の)コンテンツマーケティングの世界では、とかく「コンテンツの枯渇問題」、「コンテンツ制作本数問題」といったことが存在し、常にコンテンツを作り続けなければならない焦りもあります。

そのため、自分たちで作るオリジナルコンテンツ以外に、ゲストライターによる記事や寄稿、他サイトでのコンテンツの許可をとった(ないしは対価を払った)リユースなどが、「コンテンツ量産」の方法として使われます。

こうした「コンテンツ量産」は、それぞれのプレイヤーの中でなんらかの対価が生じます。

例えば、ゲストライターの場合は原稿料、コンテンツを有料で借りてくる場合にはその使用料、あるいはコンテンツの元ネタのサイトへのトラフィック提供といった金銭以外の対価の場合もあるでしょう。

こうした状況では、経済活動的に「フェア」な状況にあると思います。

しかしながら、次のような場合は「フェアじゃないな」と僕なんかは思うわけですね。

例えば、

5分でわかる!インバウンドマーケティング総論と実践のポイント(innova)

という記事の場合、「インバウンドマーケティング」という言葉を前面に押し出し、そのインバウンドマーケティングの提唱者である「HubSpot」社のコンテンツを使っているわけですが、僕はこの記事を読んで、

HubSpotを扱ってないところが、 HubSpotの記事をネタに、 HubSpot以外を売ろうとするのは、 フリーライドであり、 パクリである。 と、言わざるを得ない。

と思いました。いわば「フェアでない」ということです。

イノーバと同社の宗像社長の目指しているコンテンツマーケティングによる中小企業支援というのは、すごく応援をしたいのだけれども、以前から続くHubSpotからの引用という姿勢と態度だけは以前から賛同しかねています。

イノーバは、CloudCMOというサービスを提供しており、これはある部分HubSpotと競合する商品です。そして、上記ブログ記事においては、HubSpotから拝借しつつも、結局は自社のサービスに誘導している。

単にHubSpotの記事がいい記事だからといって紹介してるというよりも、これでは他社のマーケティングコストを勝手に拝借してるようなもの。タダ乗りです。

もし、この記事がHubSpotのコンテンツを紹介し、かつHubSpotへ誘導するならそれはフェアと言えるかもしれません。 でも他社コンテンツを使って自社サービスにつなぐのはフェアではない。

HubSpotを扱うビジネスをやってる側からするとそう思います。

もちろん上記記事が HubSpotを扱っている他のHubSpot Partnerがやってるものなら、100%そのようには思わないでしょう。

しかしながら上記の場合は、結局のところ”違うサービス”を売るためにやってるわけですから。

法的な問題云々ではなく、倫理的な話だと思いますが、相手に便益を提供せず、一方的に相手の財を自社のために活用するというのは、あまり良い行為だとは思えません。「アンフェア」です。

こうした「フェア」か「アンフェア」かとういうのは様々な場面で生じますし解釈はそれぞれになりましょうが、少なくとも今回のイノーバさんの記事についは「他人のふんどし」をかっている状況ゆえ、余り良いことではないなあと思っています。なぜなら、コンテンツマーケティングを提供している企業自身がこのようなことをやらかしてしまうのだ、ということだから。

コンテンツの制作者であれ、マーケターであれ、パクリやフリーライドはよくないです。

ああ、フェアにやりたい。

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