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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

「ファン」が先か、「お客さん」が先か

  David Meerman Scott が来年1月に新刊を準備中らしい。

 

Fanocracy: Turning Fans into Customers and Customers into Fans (English Edition)

Fanocracy: Turning Fans into Customers and Customers into Fans (English Edition)

 

 

タイトル "FANOCRACY" かして、「ファン」に注目している書籍だということがわかる。

気になる。日本語版を同時に出したいくらい気になる。

なぜか? サブタイトルが気になるから。

"Turning FANS into CUSTOMERS and CUSTOMERS into FANS"

日本で語られている「ファン」や「熱狂顧客」と呼ばれる言説の多くは、どうしてもすでにそれらがいる前提になっている。また、それらで語られているケーススタディの多くは、「ファン」にどうやっていくのか?というシナリオの部分が不明瞭なものが目につき、「結局、ファンがいるブランドやサービスだけをピックアップして、それを一般化しすぎているのではないか?」という疑問も起きてくる*1。そのあたりが以前から高広的には納得行ってない。

遡ること2010年。 Joseph Jaffe は"Flip the Funnel"という本の中で、"How to Use Existing Customers to Gain New Ones" というフレーズで、「既存顧客の力で新しいお客さんを手に入れる」という話をしていた。 

Flip the Funnel: How to Use Existing Customers to Gain New Ones (English Edition)

Flip the Funnel: How to Use Existing Customers to Gain New Ones (English Edition)

 

Joseph Jaffeはマス広告の終焉についての著作をこの前に書いており、その流れからマスマーケティングで度々利用される、「ファネル」の思考を変えてひっくり返し、既存のお客さんの力をマーケティングに活かそうと説いていた。つまり、「ファン」だとか「熱狂顧客」といった”熱い”人々だけでなく、そもそも”既存顧客”に注目していて、”熱さ”はさほど関係がなかった。

テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0

テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0

 

 さて、今回 David の本に関しては、

ファンを顧客に、

顧客をファンに

というサブタイトルがついているからには、ファンと顧客、顧客とファンを別で定義しているように思える。しかも、よく言われるように、ロイヤリティの高い顧客=ファンといった簡単な、かつ一方的な顧客の成長ではないようにも読める。顧客がファンに、なら従来的な考え。でも、ファンを顧客に?とは? ここが両方のベクトルを提示しているとするのであれば、非常に注目したい。

 

なにはともあれ、まだ半年以上の先の本。

 

今からKindle版を予約して、ダウンロードされるのを待ちましょうかね。

 

*1:(ちなみにこういう”批判的”な目線というのは、それらを説いている人たちを批判しているのではなく、正しさを追求するアカデミックバックグラウンドの視点から来てるのかもしれない)