大学の先輩にもあたる某成功起業家の某氏が、facebookにて、
Wantedlyもeightもよく使っている。いや、己以外の方からの圧によって使わされている。 今後は両社ともにSNSを目指しているそうであるが、やはり上手くいくような気はしない。気になる。
と発言されていたのを見たのだが、僕自身も同様の感を持っている。
特にeightについては、
名刺管理サービス「Eight」は日本版LinkedInを目指す——まずはニュースフィード機能から
とか
名刺管理「Eight」に“ニュースフィード”--ビジネスネットワーク機能を強化
というリリースも出ていたので実際その方向を目指しているのだろう。
あまり上手く行く気がしないという理由は至極シンプルなものではあるが、
- そもそも、SNSとして利用してもらうなら、そのようなものとしてユーザーに価値を感じてもらわない限り難しいだろう。
- 現在のユーザーはすでにSNSは他にも使っていて充分と感じているのではないか?
- 果たしてユーザーはそれぞれのサービスにSNSの機能を求めているのだろうか?
- むしろそのような機能追加は求めておらず、それ以上にもっと本筋の機能で機能追求してほしいのではないだろうか?
どちらのサービスにおいてもこのようなポイントで気にかかる。
しかしながら一方で上手くいけば(特に日本ではその傾向があるようだが)、
- 投資家は、どのくらいのユーザーを持っているかから投資の価値を見出しやすい。
- とりわけ”C”が絡むB2Cのサービスにおいてはマネタイズの手段として「広告収入」に方向が向く。
- また"B"向けのサービスとしても、専門特化した領域での、現在の広告マーケットにおける他社と競合しない広告媒体としての価値を得ることが可能。
だろう。
また、SNS化というのはもう一方の側面として、
- ユーザーの活性化・再活性化
- ユーザーにとってのStickiness(=サービスからの離れがたい状況)
を作るというリテンションの価値も出てくる。
加えて、新たなユーザーを連れてくるということも期待ができるかもしれない。
このように、SNS化はうまくいけば、マネタイズ面でもマーケティング面でも大きなベネフィットをもたらすのにはまちがいないのだが、いかんせん最初の話に戻ると、
「そもそもユーザーはそれをそのサービスに求めているのか?」
という、このハードルを乗り越えることができるのかどうか、それが成功を大きく左右するだろう。
このあたり、新規事業を考える上で非常に重要なポイントではあるのであるが、
- 既存の顧客にとっての価値を最大化し続けることを目指すか。既存顧客の欲しているものの延長線上の機能追加・サービス拡充をやっていくのか。
- あるいは、(今まで取れてない)新規の顧客を取るためにそれをやるのか。既存顧客はそれを望むかどうか以上に、新規顧客を獲得するために必要な武器として進めるのか。
- また、あるいは、既存顧客の欲しているものの延長線上にはないが、新たな価値として既存顧客にも理解され、利用されるものなのか。
もう1〜3になると、これはどのように腹をくくって資金を投下するかしかない。
しかしながら、wantedlyを試しに使ってみた経験や実際にeightユーザーである身からすると、「いやあ、それよりももっとつけて欲しい機能や改善して欲しいところはあるんだけどなあ」という気持ちであり、先の某氏の投稿に「同感です」とコメントをしてしまったところから勢いで書いてしまいましたとさ。
photo credit: PSU Mon March 19, 2012 338 via photopin (license)