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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

“ペルソナ”と“ターゲット”の違い

匿名質問箱 Peing で、ペルソナとターゲティングの違いに関する質問が来てたので答えてみました。

 

 

ペルソナとターゲティングの最大の違いは次のように説明できると思います。

 

前者は必ずしも実在しなくてもよく、また「個人(像)」となりますが、後者は実在するセグメントされた集団を指します。

 

ここではペルソナについて説明したいと思います。 ペルソナというのは、先に書いたように、実在するかしないかは問題にしません。

 

例えば、新しいサービスやプロダクトの場合、そこには既存のユーザーが存在しないことがあります。しかし、そのサービスやプロダクトが出てきた結果、こういう“個人”が誕生する。。。といったことを想定した場合、その個人像のことを“ペルソナ”と言います。

 

また、「赤文字系雑誌」と呼ばれるJJ、ViVi、Ray、CanCamなどの読者は、女子大生やOLが想定されている読者ですが、(今はわかりませんが)実際は女子高校生によく読まれていると言います。この場合、“想定読者像”=“ペルソナ”=“女子大生やOL”であり、広告の“ターゲティング”としては“女子高校生”と考えます。

 

以前、日産自動車が新しいスカイラインを出したときに、「年収いくらで〜」とその車に乗る人の“像”を発表して炎上したことがあります。「そんな人はごく少数しかいない。市場がない」という批判が主でした。しかしそれは“ペルソナ”であって、そうした“像”に憧れる、気分を纏いたい人たちが“ターゲット”なのだと考えれば、その市場サイズは必ずしも小さくないことがわかります。この例は先の赤文字系雑誌の件と同様に、“ペルソナ”というのは実ターゲットの憧れる像・参照したい像という風に言うこともできます。

 

GO ProのCEOがこんな感じのことを言ってました。 「自分たちの製品のことを聞くのに自分のおばあちゃんに意見を求めることはない。エクストリームなスポーツをやってる人々に聞く」 これは、実ユーザーとペルソナが一致する例です。

 

ただし、企業の製品開発担当者、マーケティング担当者だって、常に実ユーザーにヒアリングができるわけではありません。その代わりにユーザーの“像”を作って、自分たちのやってることが正しいのか、その“像”に聞く(=照らし合わせる)ようにしておくことができます。これも“ペルソナ”です。

 

つまり、“ペルソナ”というのは“個人の像”なのですが、その使い方は多様に可能というものです。 “ターゲティング(ターゲット)”は実在してるい集団だけれども、“ペルソナ”は違う。

 

だからこそ、商品・サービス開発から、マーケティングなどまで現在から未来の仕事までカヴァーできる、概念的なツールなのです。