米国の広告業界メディア AdAge が伝えるところによると、IBMが自社の cognitive computingであるWatsonを使い、プログラマティック広告キャンペーンを大幅に向上させているらしい。
※Watsonに関する説明はこちら。
AdAgeの記事が伝えるところによると、平均してCPCが35%削減でき、もっとも良いケースでは71%も下げることが出来たという。
IBMは年間で5300万ドルもディスプレイ広告に費やしているというので、プログラマティック比率はわからないが、仮に8割に適用されたとすると、おおよそ1500万ドル。つまり 15〜16億円ぐらいの削減になるというのだから凄い。
IBMはすでにあのでかいコンピュータやThinkPadのハードのイメージはまったくなく、ソフトの世界の会社になり、そしてコンサルティングやエージェンシー業務の会社になったわけで、とりわけ広告業界にとっては、IBM Interactiveなどが他エージェンシーのバイイングも進める中で、(他のコンサルティング会社のエージェンジー業務参入とともに)非常に脅威になる話。
だって、IBMグループが、
「メディアプランニングやトレーディング/バイイング業務はぜひ弊社に。うちにはWatsonっていうメディアプランナー/バイヤーがいます。しかも日々成長しています。」
なんて言ってきたら、そりゃあ広告主もいちころでしょう。
このAdAge掲載のIBMの話は、自社をまず実験材料にして、その成果をもとに他社に売り込むためのものでしょう、恐らく。
今後は、
- IBM Interactiveなどが広告主に直接売り込む(代理店への脅威)
- IBMがWatsonをメディアエージェンシーに売り込む(代理店との協業)
の2つに進むのでしょうね。
となると、WPPのトップであるSir. Martin Sorrel が2006年に、Googleのことを Friend + Enemy (友人と敵の双方を併せ持つ)として、"Frienemy"と言いましたが、そこから10年、今度はIBMが新たな強力な"Frienemy"として登場してきたということになります(※もちろんGoogleも同様にCognitive computingを同社のアドプロダクト、特にDCLKあたりに導入する可能性は(低いながらも)あるでしょうけど)。
広告業界にとっては、単に「**デジタル」という組織を作るだけでなく、むしろこうした Frienemies との競争と協業を繰り広げることを前提にビジネス戦略を練っていかねばならない時代に入っており、代理店間での競争の時代(つまり電通や博報堂といった”代理店業界間”での勝負)は、企業戦略レイヤーではすでに終焉しているといっていいでしょう。
むしろ、20年前から言われてましたが、本当に広告業界外という、外宇宙からの脅威にどう対応していくのか?・・・
相手は Star TrekのBorg並に脅威です。
代理店は戦うだけでなく同盟も含めて考えていかねばならないでしょうが、そういや Borg の決まり文句は、
We are the Borg. Your biological and technological distinctiveness will be added to our own. Resistance is futile.
我々はボーグだ。お前たちの生物学的・技術的能力は我々に同化される。抵抗は無意味だ。
でしたね・・・・
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