mediologic

メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

新しい Chief X 職が現れる、きっと。〜 コンテンツマーケティング概論

ちまたでは Content Marketing という言葉がそろそろ来始めているが、その流れに至るまでに死屍累々となった、"Branded Entertainment"の話はあとでするとして、なぜこの言葉が重要なのかを簡単に記しておきたい。

最も簡単に言うと、「検索の次のトラフィックジェネレーター」だ。

ご存知のとおり、「検索」というのは、Search Engine Optimization と呼ばれる Organic Search での検索結果の上位狙いや、Search Engine Marketing と呼ばれる検索連動型広告での上位狙いによって、あるキーワードを検索している「顕在顧客」に対して(潜在顧客じゃないんですよ)広告を打って、トラフィックを集め、コンバージョンを得るには最適なプラットフォームだ。そりゃそうだ、なんらかのキーワードを検索しているってことは相当の興味があるわけだし。このあたり、ジョン・バテルの『ザ・サーチ』で言うところの "database of intentions" = 意図関心の集まるデータベースが検索エンジンだから(ちなみにこの本、邦訳版ではこの箇所を「意思をもったデータベース」と訳されてますが、非常に重要な誤訳ゆえ、こちらのように読み替えてください)。

そして、ここにきて、ソーシャルメディアの渦にどの業界のマーケターも巻き込まれています。

ソーシャルメディアをどのようにトラフィックジェネレーターとして使うか、しかも「潜在顧客」、うまくいけば「顕在顧客」を集めるために、となるわけですが、(これを書いている)現時点では(少なくとも日本では)、Facebook広告やTwitter広告、FacebookページやTwitterの公式アカウント、アプリうんぬん、がそれらの手段として上がってきます。しかしながら最も重要なのは「シェアされるネタ」を作ること、だったりするわけですね。FbページやTwitterの公式アカウントで公開される情報はもとより、Fb広告などにおいても「ネタ」では viral nature =拡がれられやすさ(buzzabilityという言葉よりもこちらのほうが本質的な気がする)が重要で、それが自社サイトへのトラフィックを生み出します。そして、それがトラフィックを生み出し、当該ページのPVをあげることになればそれはそれで検索への影響があるのは言わずもがな、です。

つまり、ソーシャルメディア時代において、SEO/SEMというのは、ソーシャルメディアのプラットフォームも含めた戦略と戦術を描かないと行けない時代に入っており、単にランディングページの最適化ということだけではダメな時代に入ってきているわけです。ランディングページの最適化だけではダメ、というのは、いくらランディングページを最適化しても、そこに来る人の数を増やすことはできないでしょ?あなた達、ってことです。コンバージョンは増やせてもね。でも、コンバージョンを増やしつつ、トラフィックも増やすことが出来ればそれはハッピーであることは間違いないわけで、しかも、顕在顧客を連れてくるだけでなく、潜在顧客を顕在顧客化するためのエデュケーション/ナーチャリングができれば、より企業にとってのマーケティング機会は大きくなるわけです。

そこで、コンテンツマーケティング。

コンテンツマーケティングというのは、過去のBranded Entertainmentとは実はちょっと違う流れです。本質的には近しいのだけれども出自が上記したような流れで違います。いわば、前者がブランドによるエンタテイメントコンテンツを作って消費者の注目 eyeballs を集めようとしたのに対し、後者は消費者の興味にあったコンテンツを作ってそこから潜在/顕在顧客を集めようという極めてオンラインマーケティング的な思考なのです。ただ、従来のSEO/SEMが、流れてくるエサを待つGarden Eelのような「待ち」の戦術を取るのに対し、コンテンツマーケティングは自分たちがターゲットとする人々が興味をもつようなコンテンツを作ってそこからトラフィックを集める、ないしは、コンテンツを持ってして潜在顧客を顕在顧客としてエデュケーション/ナーチャリングするという点で、より「攻める」姿勢にあります。

こうしたコンテンツマーケティングで使われる武器は、ブログやfacebook、Twitter、YouTubeなどのソーシャルプラットフォーム群。そして、それぞれのコンテクストにあわせたコンテンツをディストリビューションしつつ、一方で、それらをモニタリングし、どういったコンテンツであればどういった人々を連れて来れるのかを解析するツール群であったりします。そしてもっとも重要なのがそれらをハンドルする人物の存在です。

この人物の役職について、一部では、"Chief Story Teller"というものではないか、と言われてます。

『マーケティングとPRの実践ネット戦略』『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』や、『リアルタイム・マーケティング 生き残る企業の即断・即決戦略』の著者である、デビッド・M・スコットは以前から「企業はマーケターよりもジャーナリストを雇うべき」と主張していますが、まさにこれなども「企業にとってのストーリーテラーを作れ」というセリフにほかなりません。

つまり、オンライン上の様々なツール群 〜 ブログ、ソーシャルメディア、WebPRなどなど 〜 について、ストーリーテラーとしてコンテンツを配信・提供し、潜在・顕在顧客をひきつけるのが正しい意味での「コンテンツマーケティング」なのであり、それをリードする人物として Chief Story Teller なる存在が必要になってくる、というのは、[ 検索+ソーシャルメディア ]時代のオンラインマーケティングの在り方として間違いないでしょう。

とりあえず、「概論」編はこのあたりで。 ※続きを書くかどうかは現時点で未定。