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メディアと広告とマーケティングと。

PokemonGoは社会学的な「流行」概念の勉強に良さそうだと思ったので、雑感。

マーケティング研究 事業開発・ビジネスデヴェロップメント 消費者行動・メディア利用

PokemonGoは米国でのリリースから累計して、すでに7500万ダウンロードとなっているらしい。まさに脅威的。この背景には、ポケモンというコンテンツがいかに世界で普及していたかが当然あるでしょうし、もしポケモンモノでなかったとしたらここまでは届いてないかもしれませんので、他のゲームと比べるのも実は正しくないのかもしれませんが。でも凄い。

 

www.gamespark.jp

 

ちなみに7500万という数字、2015年の世界の各国人口ランキングで見てみると、19位のトルコ(7700万人)と20位のタイ(6900万人)の間ということで、世界19.5位の「ポケモン国家」が成立してるということになります。

 

さて、このPokemonGoの短期間での大ブレーク成功に対して、そろそろ、

「飽きた」

「一週間か二週間ぐらいしかもたないのでは?」

「一ヶ月後のユーザー数が楽しみ」

といった声がチラホラ見受けられます。

 

こうした声に対して、今めっちゃくちゃ楽しんでる人たちからは「新しいテクノロジーに対して批判的な人に対するアレルギー」というものが出ていて、”批判”と”批判に対する批判”みたいなものの応酬が興味深くすらあります。

私は、新しいテクノロジーの受容期には、否定的な態度と肯定的な態度が両方極端に現れるという持論があり、かつ無態度・無関心層もいて、3つの層で成り立つと思っているのですが。

 

さて、このPokemonGoが短期的な話題で終わるのか、それとも長く続くのか、それはわかりません。個人的見解としては、現在のPokemonGoのゲーム性だけを見ていると、今のようにがっつり遊ばれることが長く続く感じはしていません。それはジム戦や育成があるレベルからめっちゃくちゃ大変になることから感じていて、図鑑にポケモンを集める程度の遊びになってしまえば、利用時間は相当減るでしょうから。一方で元祖ポケモン(xゲームボーイ)が持っていたような友人間対戦がちゃんとリリースされれば、少しその状況は変わると思います。

 

スマートフォン上のゲームのソーシャル性は一部のゲームを除けば、日常的な友人間での「ソーシャル」というよりも、見も知らぬでもネット上で出会う人々との「ソーシャル」で成り立っているように思い、かつそれはネットの特性を活かした素晴らしい発明な気もします。しかし、一方で、ネットではなく有線ケーブルや赤外線通信という極々近距離の通信機能をもったゲームボーイだからこそ、「近距離ソーシャル」の中で子どもたち(もちろん大人も)にて広がった元祖ポケモンは改めて凄いなあ、と思わされる次第です。

 

任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代 (角川新書)

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さて表題に戻ります。PokemonGoの流行は、非常に社会学・社会心理学的なネタだな、とも見ています。というか、流行の研究は、社会学における古典なので。

もともと「群衆心理学」という名前でル・ボンという社会学者が、「人間は基本的に他人を模倣する生き物で、その模倣が感染するように広がっていくと”流行”になる」と主張し(これを通称「感染説」と言う。)ていました。 

群衆心理 (講談社学術文庫)

群衆心理 (講談社学術文庫)

 

 

また、これまた古典中の古典であるジンメルは、「流行は模倣(=他人への同調)と、それに同調しない他者との差異化である」ということをいい、この2つが流行論の古典になっていますジンメルの場合は、別のグループに所属するメンバーがこれまた別のグループとの違いをはっきりさせるために、グループごとにグループ内でのアイデンティティを保つために流行が生まれるとしているので、その拡がりや差異化・個性化の過程で、流行は寿命があるとしていたりして、古典とはいえ今にも示唆的なものがあります。特にジンメルで面白いのは、「今のところの生活に人々が飽きていたところに大きな流行が生まれやすい」とかいう話もしているので、ああPokemonGoってそんな感じかなともおもったり(笑

 

ジンメル・コレクション (ちくま学芸文庫)

ジンメル・コレクション (ちくま学芸文庫)

 

 

この分野は、ラザースフェルドやヴェブレン、ロジャーズといった古典が他にもたくさんありますが、ご興味ある方は以下の本あたりをどうぞ。

メディア・情報・消費社会 (社会学ベーシックス6)

メディア・情報・消費社会 (社会学ベーシックス6)

 

 

 

ところで、流行論的に考えたときに、PokemonGoは"fad"なのかどうか、というとこに注目しています。

流行現象には「衰滅型」と言われているものがあり、これはマスコミュニケーション普及以降に出てきた流行の型と考えられ、情報が短期間に行き渡るようになると、流行の発生と衰退のどちらもが短期間に起こるという見方です。

これは"fad"とも呼ばれますが、概して、コンシューマグッズに関してホリデーシーズンに起きやすいと言われています。米国ではキャベツバッジ人形やBeanie Babiesなどがその例であげられ、日本ではたまごっちがそれにあたるでしょう。

一般的にクチコミは短期間で起こることをマーケターは求めがちですが、ちょっとした統計・シミュレーションソフトを使ってシミュレーションしてみても、短期間で流行った・普及したものほど短期間しか持たないという結果が出てきたりします(重要なのは新規のユーザーを短期に増やすことではなく、いかにリピートさせるかという当然の話になるわけですが)。

こうした見方をすると、PokemonGoは今のところ、まさに"fad"の型にハマっているのでもしかすると、ちらほら聞こえてくるように(「Ingressと同様に」)一般的には短期的なブームとなり、コアなユーザーが残る・・・という可能性はあるでしょう。図鑑にポケモン集めるといっても上限ありますからね。

いずれにせよ、社会学・社会心理学の「流行」や普及理論をこの期に学ぶ・学び直すのは良さそうな気がします。

 

 


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