mediologic

メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

人と人の間をつなぐプラットフォームでは、その間にハッピーが生まれるかどうかが鍵になる。

この数日、UCCのtwitterでの件でいろいろソーシャルメディア界隈がにぎやかですが。

さて、むかし viral marketing というコトバが輸入されたころに、「いいバイラルマーケティング」「わるいバイラルマーケティング」というコトバがありました。

それを思い出すと、アメリカで某薬品メーカーが風邪関係のキーワードをつぶやいた人に”無差別”にクーポン付きつぶやきを送ったのと、今回のとが”同じでない”ということが理解できます。

ようは、ハッピーを生み出すかどうか、ということ。

過去、僕が「バイラルマーケティング」について講演したときの資料が掘り起こしできたので、それを以下に再掲載しておきます。

※Google内キャッシュはココ

たしか2002年にソフト化経済センターが主催した「バズマーケティングを考える研究会」での内容だったかと。

トライバルメディアハウスの池田氏とあったのはこのあとだったかな?

以下、長いですが、せっかくなので。

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『成功するバイラル・マーケティング/失敗するバイラル・マーケティング』=

㈱博報堂インタラクティブ局 高広伯彦(当時)

ペタろうの上にも 3 年

オフィスで大普及している「ペタろう」というソフトウエア(http://www.peta.gr.jp/)に関し、私たちが行ったバイラル・マーケティングの事例を紹介しましょう。「ペタろう」は PC 対 PC の間でやりとりができる、今でいう AOL メッセンジャーとかヤフーメッセンジャーとかの走りで、98 年にネットワーク対応の付箋紙ソフトとしてリリースされました。これは、メモとして使えるだけでなく、メッセージをやりとりできるのが特徴です。 このペタろうを開発する以前,1997年頃に、「オフィスのネット環境が普及すれば、オフィス内コミュニケーションはどうなるか」を調査したことがありました。結果、電子メールは遠くの人よりも半径10m以内の人とのやりとりのほうが多いことがわかりました。そこで、「その半径 10 m以内の人とのやりとりをもっと簡単にできるツールを考えれば、みんながもっと使うのではないか。それに広告を掛け合わせて、新しい広告のビジネスモデルが構築できるだろう」ということで、「ペタろう」を開発しました。 こうしたオフィス内でのコミュニケーションの担い手は女性たちだろうと考え、「ペタろう」は思い切り女性向けにしたのです。ですから、「ペタろう」はうさぎやパンダ、埴輪など毎月リリースされる色々なキャラクターがあり、しかも表情を変えて相手にメッセージを送ることができるようになってます。 さらに、台紙がチェンジできるなど、「セット・バズ(=話題を仕掛ける)」といわれる様々な仕掛けを行っています。「ペタろうの上にも 3 年」とか、「あ、背後霊だ」とか、どうでもいいことをタスクトレイ上の「ペタろう」が話す機能も仕込みました。今でも、ユーザー数は毎日600人から800人の割合で増えています。当然、人間は使ってくると飽きてきます。しかし周りの環境のなかで使っている人が 1 人でもいれば、「新しい台紙がでた」。つぶやきに関しても「何か変なことをいっている」と話題になります。セット・バズを継続的にやっていくことは、Viralを起こすためにも非常に大事だと考えています。

HAPPY なキモチになれること

 もうひとつ重要なことは、「ペタろう」自身がバイラル・マーケティングの素質を持っていることです。「ペタろう」は基本的には自分一人では使えない。メッセンジャーとして使おうと思えば、「何々さんも使ったら」と横の人を勧誘していくのです。過去の経済学では希少性こそ価値が高いといわれましたが、昨今よく耳にするネットワーク経済のなかには、増えれば増えるほど価値が出るものがたくさんあります。これもバイラル・マーケテイングで非常に重要な考え方だと思います。たくさんの人が使うから自分も色々な人とメッセージをやりとりができる。そして自分自身も相手も HAPPY になれる。バイラル・マーケティングを成功させるキモは、「なによりもそれに参加する人がHAPPYなキモチになること」で、このために何をするかを考える必要があります。

アイディアが入ったウイルスを解放せよ

 Seth Godin 氏は、バイラル・マーケティングとは、「アイディアが入ったウイルスを解放する」ことだと言います。Viralとはウイルスの形容詞で、情報・モノがウイルス的に広がる様を表現したものです。彼は「モノが溢れかえっている現在、パーミッションを得る商品とは顧客同士のコミュニケーションの輪の中にうまく情報を伝えられるものだ」といい、マスマーケティングを人の領域に勝手に入ってくる土足マーケティングと彼は言い放ちます。まぁ一面的だとは思いますが。

Hotmail がヒットした秘密

 Hotmailのヒットは、ネットがバイラル・マーケティングに有効だと認知された初めての事例です。Hotmailのユーザーは最初の2ケ月は10万人でした。3ケ月後には50万人に、さらに18ケ月で1,200万人になりました。しかも、驚くことに彼らはマーケティングコストをほとんど使わなかったのです。今のマスマーケティングを揺るがす素晴らしい出来事でした。それは "To get your FREEemail account go to www.hotmail.com"(Hotmail に行って無料の電子メールを手に入れよう!)。この一文がホットメイルのユーザーからユーザーではない人に送られたメールの一番下に書いてあっただけなのです。無意識に広がっていくものほどバイラル・マーケティングで成功するのです。「ペタろう」もそれを使う人は意識していないけれども、色々な広告情報やツールを広めてくれます。無意識に広めてくれる方法をどうやってつくるのかを考える必要があるのです。 前述した Seth Godin の言葉を言い換えれば、顧客、生活者に受け入れられる商品というのは、消費者コミュニケーションの輪の中でうまく動く。そうした商品・サービスほどバイラル的にうまく広がっていくのです。Hotmail のアカウントを取得するのは、だれかにメッセージを送りたいから、あるいはだれかからメッセージを受け取りたいからです。こうしたコミュニケーション・ツールの場合、バイラル・マーケティングは非常に広がりやすいものです。

コミュニケーションの輪を読み取る

 もうひとつ、注目すべきことは、バイラル・マーケティングは日常のコミュニケーションによって広がるのです。例えば、「ペタろう」や Hotmail は知らない人には送りません。実際、最初に知ったきっかけというのは、人と人とのコミュニケーションにあったのです。成功するバイラル・マーケティングは、生活者同士の日々コミュニケーションの中で広がっていきます。これこそ、クチコミなのです。だから、バイラル・マーケティングでは、日々のコミュニケーションの輪、そのネットワーク自体をどういうものかを読み取る作業を行います。 ネットワークには色々な階層があります。例えば、ウインタースポーツの好きな人は、その会話を会社の人とはしません。会話はウインタースポーツをする人々の集まりやメーリングリストの中で行うのです。従来のデモグラフィックのようなマーケティングのやり方は、20代、30 代の男性とか女性とかという考えをするのですが、バイラル・マーケティングでは、1 人の人がどれだけのネットワークの輪を持っているとか、どれだけのライフステージを持っているかということに着目するのです。

生活者の文脈を読み込んでいく

 コミュニケーションの輪を拾っていくときは、Context