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インバウンドマーケティング狂騒曲、その三。戦略PR業界から「学ぶ」もの。

さて、なぜか昨日に続き戦略PR業界からのネタです。

はっきり言葉にしておきますと、戦略PR業界の人々は「**は終わった」とか流行り言葉にのるのが大好きなんだと思います。それゆえ、本質的な部分はまったくほおっておいて、適当なことをいう傾向にあると言われてしまうのはしょうがないような状況なのでしょう。

例えば昨日話題になった、「戦略PRは終わった」ネタなんかもまさにそうです。

こういう「**は終わった」、「これからは**だ!」という手法は、ラテン語で argumentum in terrorem、英語で appeal to fear、日本語で、「恐怖に訴える論証」と呼ばれるもので、同じく argumentum ad baculum(appeal to force)と呼ばれる「威力に訴える論証」とともに、人々のジレンマにつけこんだり、論理的誤謬を起こしたりするので、非常に危うい物言いと言われています。僕らは「戦略PRは終わった」という宣言から、こうした難しい知識を学ぶことになり、自分たちの知力をあげることができるので、インテグレート藤田社長ありがとうございます、と感謝すべきなのです。なお、このブログの読者の皆さんは、この二つの危うい「論証」ついて理解して、騙されないリテラシーをつけていただくことを切に望みます。

さて、本日『戦略PR代理店』という書籍を発売された西江肇司さんが率いるベクトルグループの決算資料からは、戦略PR業界は「本質的理解無きままに流行り言葉にのるのが好き」ということを通じ、それを利用して、お客さんや投資家を釣るという戦略PR的手法について理解をすすめましょう。

同ベクトルグループとインバウンドマーケティングについてのお話については、過去に二回ほど書いております。

インバウンドマーケティング狂騒曲 (2013/3/15) インバウンドマーケティング狂騒曲、その後。 (2013/7/1)

上記を先にお読みになることをおすすめします。

さて、昨年10月の同ベクトルグループの決算資料を拝見したところ、「インバウンドマーケティング」に関する記述がありましたので紹介をしておきたいと思います。

[caption id="attachment_2848" align="aligncenter" width="300"]ベクトル流、日本流のインバウンドマーケティング ベクトル流、日本流のインバウンドマーケティング[/caption]

この決算資料に堂々と、世界的に言われている「インバウンドマーケティング」とは全くマインドセットが違うものを「日本流」と書いて、さも時代にのってるかに見せようとしているところが、戦略PR業界から私たちが学ばなければならないことなのかもしれませんね。これが過去二回のブログでも書いた「日本流」なのです。「インバウンドマーケティング」に「日本流」があってそれ以外があるということを、世界第二位のHubSpot扱い高を誇るマーケティングエージェンシーを率いている私ですら知りませんが、「戦略PRでキーワードを広げて、それでサイトのトラフィック増やします!」というのが「日本流インバウンドマーケティング」だと言い切る自信が私みたいな小心者にはないので、リスペクトする限りです。

というか、戦略PR業界って、ほんとすごいですね。決して、呆れるとかバカじゃないのか、という言葉を使いたくはないですが、そんなの飛び越えて、素晴らしいとか、すごいとかリスペクトしたくなります。

こちらもあわせてどうぞ↓ 日本の戦略PR界隈が面白いのと出版PRと、真面目に学びたい人のためのおまけ。

ところで、何度も申しますが、こうした戦略PR業界が白いマットの上でプロレスを続けている外で本質的な変化が起きてます。エンタテインメントととしての面白さと、世の中の波とは違うものとして理解しておきましょう。

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