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コカ・コーラパーク終了。オウンドメディアのパイオニアの失敗について。

 コカ・コーラパークが終了です。

 でも、なぜか業界のブログでも、業界のニュースでも、業界関係者のソーシャルメディア投稿でも話題になってるのを見かけませんが。

 

 コカ・コーラ パーク Coca-Cola Park | お知らせ

 

 企業によるプラットフォーム戦略だ!、とか、オウンドメディア戦略がこれからのデジタルマーケティングの中心だ!とか、企業メディアが自社で広告を売る時代だ!などと話題になった、あのコカ・コーラパークが終了なんですよ。なんでみんな話題にしないんでしょうか? それほどもうコカ・コーラパークを目にする機会も無くなったんでしょうか?

 はい。きっとこの最後の「目にする機会もなくなった」というのが、実はコカ・コーラパークがもとより内包していた”失敗”の可能性だったように思います。当時は、多くの皆さんが「すげー」と「成功しているオウンドメディア」としてとりあげていたし、その中心人物も近しく親しくしていただいてる方なので多くは語りませんでしたが、コカ・コーラパーク以前に、博報堂時代のインタラクティブ局で(当時言葉がなかったものの)早期の”オウンドメディア”的な案件を数多く見てきた経験からして、「囲い込み戦略時代の終焉」を早くから感じていました。

 「生活者はもう企業に”囲い込まれ”たくないんだよ。むしろ企業は生活者に”囲い込まれる”ようにするための戦略をとらなくちゃいけないんだよ」

という話は2000年代初頭の博報堂インタラクティブ局内でなされていた話で、この思考についてはソーシャルメディアが普及して、ユーザーが自分たちで「繋がりたい」ないしは「何かを)共有したい」プラットフォームを選ぶ時代になって、ますますこの傾向は強くなっているように思います。

 しかしこれは、ソーシャルメディア以前から、インターネットがユーザーの情報行動に自由な選択肢を与えたことから来ているのであって、”囲い込み戦略から囲い込まれ戦略へ”という、戦略のマインドセッティングを変えることをしなければ、いくら”ガワ”だけが新しいデジタルなマーケティングであったとしても、本質的ではないということなのだと思います。

 

 コカ・コーラパークに関して言えば、壮大な「囲い込み戦略」として数年に渡り成功し、そしてその囲い込んだユーザー層を持って他社へ広告リーチとして販売するという非常に実験的な試みを行ったことについて、リスペクトされるべきプロジェクトであることは間違いありません。しかしながら、その可能性はコカ・コーラパークという魅力的なコンテンツ群なのであれば、クローズドサーキットな戦略をとるべきでなく、むしろブランド自身が磁石のようなパワーを持つものだからこそ、ソーシャルメディアや他を通じて、ユーザーがそのコンテンツに集まり、共有し合うような”囲い込まれ戦略”へと早期に舵を切るべきだったのではないかと思います。