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広告収入を消費者と分け合う?

■ゲイツ会長、広告収入をユーザーに還元する意向表明 (ITmedia/IDG)

Bill Gatesの Google への指摘。

Googleのような検索エンジンが広告収入を得ているのは、ユーザーがそれを使ってくれるからだとゲイツ氏は指摘。「Googleのビジネスモデルは無料ソフトに基づくものではない。同社のビジネスモデルは広告に基づいており、そこから大きな利益を得ている」

しかし同社はこうした広告収入を、収益に貢献したエンドユーザーには分配していないとゲイツ氏は言い、「Googleはこの収入を全部1人占めしている」と言い添えた。

うーん。これって、

テレビ局が広告収入を得ているのは、視聴者がそれを見てくれるからだ。
テレビ局はこうした広告収入をテレビを見てくれた(収益に貢献した)視聴者には分配していない。
テレビ局(と広告会社)がこの収入を全部一人占め(二人?)している。

って言ってるのと一緒のような。。。

収益をユーザーと分け合うため、Microsoftは無料ソフトあるいは現金をユーザーに提供するかもしれないとゲイツ氏。

この話(がMSの開発拠点となりつつあるインドで行われたってのも面白い)が、示すところの、「広告収入を消費者に“広告配信を行っている会社自ら”が還元する」って発想はどうなんだろう。

すでにAmazonのアソシエイツや楽天アフィリエイト、Google AdSenceのように、消費者は自ら収益を得るビジネスサイドになることもできるが、誰もが、「広告を見たから金をくれ」となってくると、それは広告のモラルを破壊することにならないのだろうか? この点については大いに疑問。

広告主サイドが広告費=支出を下げることによって商品価格を下げる、ということは妥当な判断であると思うが、広告メディア側が現金などを支払う、というモデルについては、広告というビジネスへの誤解に基づくような見解としか思えない。

「広告費によってまかなわれているからタダでテレビが見れるのだ」と常に理解しながらテレビを見ている視聴者なんとほとんどいないだろう。むしろテレビを見ていてそこに広告が入っていることの自然さ、ツールやコンテンツを使っている/見ているときにそれらにあわせた広告が出てくる妥当性、さえあれば、消費者に現金を払う理由なんてないはず。

消費者に現金を払わなければならない広告なんて、それは広告そのものが消費者への適切な情報ではなくって、かつ嫌々見られるもの、という前提に基づくものに過ぎない。

広告が、消費者にとって適切な情報であれば、いいだけなのだ。