意外と日本国内で話題になっていないこのネタ。
■Googleが、検索マーケティング事業のPerformicsをPublicis Groupeに売却した
Publicisは世界最大の広告会社で、傘下に、
Leo Burnett Worldwide
ここのコープレートサイトのクリエイティブはすばらしい。なぜ「一本の鉛筆」がシンボルなのかはこの会社の成り立ちを調べるとすぐにわかります。興味のあるひとは、このサイトを参照のこと。マルボロのカウボーイのクリエイティブはここが生み出した。またこの数年のUSにおける nintendo Wii のキャンペーンもここ。
Digitas
デジタルに関わる広告ビジネスをやっているなら絶対にしっておかねばならない世界最大級のインタラクティブエージェンシー。2006年にPublicisが買収した。日本の複数の代理店が提携を申し込んでいたようだが、、、。
Saatchi & Saatchi
老舗広告代理店。最近、Saatch & Saatchi S という環境系専門のエージェンシーを作り、注目されている。
Fallon
カンヌ広告賞で「チタニウム」という賞が生まれるキッカケになった「BMW films」を生み出した
Bartle Bogle Hegarty (BBH)
49% の株式取得。
今注目されているクリエイティブエージェンシーのひとつ。
Starcom MediaVestGroup
ZenithOptimedia
どちらも世界有数のメディアエージェンシー
一方の Performics は、DoubleClickグループ内の、"Performance Marketing"の企業で、
Paid Search →日本でいういわゆる「SEM」
Natural Search →日本でいういわゆる「SEO」
Feeds
Paid Inclusion
Affiliate
etc
を主業務とする。
そのため、GoogleののAdWords/AdSenseとは相容れない部分(特に Natural Search 向けビジネス)があり、その動向についてはすでにいくつかの記事などで指摘されていた。
さて、とはいえ、Performicsは世界最上位の検索マーケティング会社である。
Publicis のグループ会社を見てもらえばわかるが、同グループにとっては、デジタルや検索領域はもっとも弱い領域で、Googleとの提携もそこを強くしたいと言う目論見が働いてた。
一方、ライバルの、マーチン・ソレル率いるWPPグループは、早い時期からインタラクティブエージェンシーの24/7 Real Media を買収したり、傘下のOgilvyは、OgilvyInteractive/OgilvyOne Worldwide、Grey は Grey Interactive、JWTは digital @JWT などといったトラディショナルエージェンシーのデジタル化を推し進め、メディアエージェンシーを束ねるGroupM主導で、Outrider(SEO)、Catalyst(SEO/Paid Search)、Quisma(Paid Search)などを統合させグループ内で使えるようにデジタル対応の道を着実にすすめてきていた。
そこに来て、いきなりオセロの色を変えるかのような Performics の事業譲渡。
これで一気に、少なくとも、Paid Search の分野では遅れを取り戻した。
きっと数日中に、WPPのマーチン・ソレルからはなんらかのメッセージは出てくるだろう。
また、Publicis については、電通との提携・資本関係が強固なため、今後の Performics の日本展開は電通グループで行うということもない話ではないと考えられる。
一方、現・電通グループ内の 24/7 search については、電通が 24/7 RM と提携したころはまだWPPグループではなかったのだが、買収された結果、現在のような"ねじれ"(=WPPグループの会社が電通グループ内にある)が生じている。電通からすれば、検索分野においては、WPPグループの系列会社を切り捨ててでも、Optとの提携他で解消できると想定していたかもしれないが、ここにきて"偶然"もう一枚の切符を手に入れた、ということになる。
激動の時代、だなあ。