■電通、「オファー型広告」システムの開発を発表--対価を市場原理で決定 - CNET Japan
このニュースを読んで、広告というビジネスをNo1広告会社が自ら貶めた、と思うのは僕だけなのか。
広告の内容とともに、広告を受け入れてもらうことの対価を提示することで、広告を見てもらうよう積極的に働きかけるものとなっている。
これは、「押売りと広告屋はお断り」といわれた時代の広告ビジネスへの逆行だ。
「見てもらえない広告」を「見てもらう」ということで、いったいどのぐらいの広告が効くというのだろう。もちろん資料請求など、“あと一押し”をするためにインセンティブを儲ける手法は非常に効く。
しかしながらインセンティブを儲けることで、生活者に広告を見てもらうように働きかける、というのは、電通が自ら「広告は見られてません」っていうのと同じことなんじゃないか?
今から5-6年前、こうしたインセンティブ型の広告ビジネスがUSマーケットでも結構もてはやされたことがあったが、こうしたモデルや instant win という「***すれば***がもらえます」という仕組みについては、結局そのポイントやマイルが欲しい人、懸賞マニアしか集まらなくなってくる、という傾向が見て取れた。結果、それらのビジネスのほとんどが失敗している。その理由は、これらの収益モデルはほとんど広告収益を狙ったにも関わらず、こうした仕組みに集まる生活者とは比較的低所得であったり、購買意思決定にあたる人でなかったりするため、広告主にとっては「よいターゲット」ではなく、思ったほどの広告収入を見込めなかった、ということにある。どうようのことが今回も起きそうな気配がするのだが。
また、プッシュ型に対するプル型(この概念自体が今起ころうとしている広告の変化にはあってない)の広告というのは、生活者が必要としている情報と広告とのrelevancy(関連性)がある場合のみ、効く。そのとき、生活者は“広告を引き出した”とは思わないだろうし、これから先の広告はより「情報」や(ある種の)「エンタテインメント」と化していくはず。その流れからすると、大幅に逆行した広告モデルとしかいいようがない。
「押売り」から「広告業」を高めた吉田秀雄がもし今生きていたとしたら、この状況をどのように考えるのだろうか?
※追記)こちらのサイトでこの広告システムについてうまいこといってらっしゃる方がいました。これは「見てやるよ型広告」だと(笑。うまいわ。