mediologic

メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

会計的思考と非会計的思考、と広告とネット広告

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 』に続く、シリーズ3部作の最終本を読了。おもしろい。

特に『食い逃げされてもバイトは雇うな』『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』はなぜ分冊化されたのかは、読み進めていくうちに「なるほど!」と気づく(なぜかについてはネタバレになるので書きません。読んでください。)

山田氏の最初の著作は、会計というものを身近にする、という視点で書かれたものらしいが、上下分冊された後著については“複眼的思考”の重要性について書かれている。たとえば、客観的に数字“だけ”でしか判断が許されない「会計」と時には一見非合理的なことまで判断せねばならない「ビジネス」との大きな違いがこの本で例に挙げられており、後者では複数の視点が必要な旨がしっかり書かれている(会計を否定しているわけではなく会計の限界をも書いている。すなわちそれは“会計だからできること”を書いていることを指すとともに、行き過ぎた「会計信仰主義」に警鐘を鳴らしている)。

で、僕はこれを読んでいて次のようなことを思った。

これは広告業界で言う「below the line」のしかもそのまた下部にしかすぎない、しかしながらこれまでのように数字的な効果を出しにくかった広告の世界に新たな世界をもたらした、検索連動型広告やコンバージョン志向の広告商品というのも、確かに重宝されているが、それが「広告」を考えたときには極々一部にしかすぎないんだけれど、ちょっと思考が偏重しすぎる嫌いがあるのと似ているな、と。

ようは、「ビジネス」における「会計」と同様に、「広告(やマーケティング)」における「コンバージョン志向な広告」や「ネット広告」というのも、一側面に過ぎないので、後者だけで世の中を変えられるようなことはないってこと、なんだけど。

まぁ、ちょっとややこしくなってしまったな(笑

とりあえず、まだ読んでない人(特に広告業界関係者:トラディショナル系・ネット系両方とも)は、この3冊を読むことをお勧めします。

会計本ってよりも、物事の見方、に関する本なので。

しかも、3冊買っても、たかだか二千数百円だしね。


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