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パワーバランスとコンテンツ価値

”Paran.com~ポータルサイトに新たな波乱”(韓国インターネット事情 AllAboutJapan)

韓国のネット事情に詳しい人なら多く知られたことだが、日本のように Yahoo! や MSN といったポータルはむしろ二軍に属し、一軍は韓国独自のポータルで占め、naverdaum は1~2位を占めており、圧勝の状況が続いているようだ。

この2つポータルはともにコミュニティにチカラを入れることで成長してきたが、ここに来てこの座を狙おうという動きがあるらしい。

韓国には Korea Telecom という日本のNTTに当たる通信会社がある。半国営の通信コングロマリット状態になっており、有線・無線の電話サービスやインターネットサービスなども初期から提供している。
hanmil や hitel といったほんの2-3年前には若者を中心に非常に人気のあったポータル&検索サイトを提供していたのだが、navarやdaumのコミュニティ戦略に遅れをとって、大きく順位を下げていた模様。

で、知らなかったのだが、hanmil と hitel を統合し、いつの間にか Paran.com というサイトができていた。このサイトが波乱を巻き起こしているらしいのだ。

もともと各ポータルサイトは新聞社他のコンテンツプロバイダー(CP)からコンテンツ提供を受けているが、コンテンツの価値からすると「格安」の金額で提供されていたらしい。
一般的にネット業界ではコンテンツの価値は金額にすると総じて「安い」。もちろんコンテンツ需要そのものはポータルサイトetcサイドでもあるのだが、ネットビジネスが流動性の高いビジネスだということと関係するのかもしれないが、短期的な資金バランスから考えても買い付けるコンテンツにデカイ金額を出すなどできない。

で、param.com はKTの資本力をバックに他のコンテンツができないぐらいの金額で、大手新聞社のコンテンツをほぼほぼ独占的に買い付けて、自社コンテンツにまとめあげてしまった。これが波乱のもとである。

CPサイド側からすると「コンテンツに適正な価格がつけられたとなる」が、他ポータルetcの買い付け側からすると、「不当に競り上げられた」となる。

KT = Paran.com の思惑としては、広告を使った大キャンペーンに短期的に大きな資金をつぎ込むよりも、長期的なユーザー定着に貢献するコンテンツのほうを選んだわけだろうが、こうしたパワーゲームは相当な体力勝負を強いられる。

naverやdaumといった”ベンチャー” vs paran "大資本KT" のパワーゲームがもたらすものは、コンテンツの価値を高めることによる経済効果なのか、はたまた消耗戦なのか。

いずれにせよ、韓国の新しいポータル戦争が見逃せない。


また、これが日本の膠着化したポータル状況のケーススタディになりえるか?も考えていくべきだろう。