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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

世界の広告費を比較できる、データ好きにはたまらないツールの紹介(と、そこから考えなければならないこと

 

今の世界の広告費がどのようなランキングになっているのか?

例えばアジア圏だけで比較すると? などといったことがわかるツールを eMarketerが提供している。

→ Worldwide Ad Spending | eMarketer.

22カ国に限られるものの、このツールを使えば、例えば日本/中国/韓国/インドネシア/インドといった五カ国の比較も可能で、以下の様なデータを見ることができる。

 

例えば、上記五カ国の総広告費ランキング、デジタル広告費ランキング、モバイル広告費ランキングがこちら。

Ranking of ad spending in Asian Top 5 countries

 

以下のチャートは、チャネル別の広告費比率を国別にパイチャートにしたもの。

Channels of ad spending in Asian Top 5 countries

こちらは、今後の伸び率を2018年まで Year by Year で見ることができるツールで、どの国ではいつごろどのチャネルが伸びそうか、ということを見ることができる。

広告費全体の伸び率 2013/2014

total ad spending in Asian Top 5 countries

デジタル広告費全体の伸び率 2013/2014

Digital ad spending in Asian Top 5 countries

モバイル広告の伸び率 2013/2014

Mobile ad spending in Asian Top 5 countries

こうしたデータを見ると、今後の中国とインドネシアの動きに比して、日本の低成長が気になる。

 

さて、ad spending のデータとしてこういうものを見る際に、次の二つのことはマーケットごとに違いがある場合が多いと理解しておいたほうがいいだろう。

  1.  広告枠の価格帯が違う(※例えばCPM換算で日本は欧米の1/6-1/10と言われていて、枠が買い叩かれている)
  2.  広告主の種類が違う(※例えば日本ではブランド広告主のブランド広告費がまだまだデジタルに転換されていないと言われる)

日本の場合、トータルの広告費とデジタルの広告費でランキングが変わってくるのは、デジタル領域の広告費を構成する上記二つの理由が他国と比べて悲しい状況になっているからだろう。

販売チャネルの一環のようにネットを使う、俗にいうコンバージョン重視の広告主が圧倒的に多い。そのため、流通コストを低減させるのと同じような理屈で広告枠を仕入れるので、媒体そのもの価値が検討されることはまずない。今はデジタル広告業界で、「枠から人へ」という言葉がよく使われているが、それだけでは媒体側は衰退してしまう。

むしろ、単純に「枠」だ「人」だとの捉え方をするのではなく、「枠の周囲にはコンテンツがあり、そのコンテンツに人は集まっているのである」という大前提のもと、メディアのもっているユーザーとのエンゲージメントを換金化できなければ、こうしたランキングサイトで日本はどんどんランクを落とすことだろう。

こうしたグローバルデータや電通日本の広告費のデータを見て、デジタル広告費が一兆円超えた!とか日本は上位!とか言ってる場合ではないのである。買う側にとっての論理だけでなく、媒体が生み出した枠の価値を高め、正当に評価し、売る仕組みや買われる仕組みを作らないといけないのだ。