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BritannicaのWikipedia化

■ブリタニカ、オンライン百科事典のユーザー編集を可能に:ニュース - CNET Japan

Wikipediaは「集合知」の賜物であるがゆえに、従来の百科事典と比べたときに「え?この項目ってないの?」っていう場面に出くわすこともある。しかし編集者によって編纂されたオーソリティによる事典というのは、博物学的な知識を与えてくれて、知的刺激を受けることも多い。この点において、僕はWikipediaは興味をある程度満たしてくれるものの、知識を深堀させてくれる、とか、専門化させてくれるというのは苦手である、と感じていた。一方で、従来の事典というのはアップデートに弱く、古い情報しか閲覧できないこともある。

で、真打ち登場、である。

BritannicaがWiki的な機能を持つのだと。

今は、検索エンジンであるキーワードを検索するとWikipediaが上位に来ることが多い訳なんだが、Britannicaで掲載されている場合はそれが上位に来た方が、個人的にはうれしいし、その情報がアップデートされてるならさらにうれしい次第。

GoogleのEric Shmidtは昨年「このままインターネットはゴミの掃き溜めのような状況になる」という要旨のことをいい、デジタル化がまだまだ進んでいない“質のいい情報”のネットへの参加を促したが、今回のBritannicaの方針転換/新サービス発表は、ネットにおける新たな「編集」と「編集者」の仕事を生み出すものであるかもしれないと期待している。たとえユーザーが書き込んだ(つまりユーザーは「ライター」)としても、そこには「編集」の視点が必要。

現号のBRUTUSの特集:ブルータス大学における、いとうせいこうさんの授業での一言。「雑誌は“雑”だからいいんだ」「だから編集が必要」。

ネットの世界はもっと“雑”だからこそ、「編集」が必要。そしてその「編集」されたものに、「編纂」が加わっていく。

これまで語られてきた「集合知」は「ユーザーの知のかたまり」のようなニュアンスが大いにあったが、究極的には、オーソリティの知も含めての「集合知」であったほうがいいわけなのは間違いない。