といっても、当初「見積」が大きくちがったとか、「予算」があわなかったとかそういう話ではなく。
仕事柄、この「見積」と「予算」という言葉はよく耳にするわけなんだが、この言葉の使い方に従来の広告業界的な思考とこれからの広告業界的な思考を分ける、大きな違いがあるとふと気づいた。
たとえば、USではそれが普通で、日本でもGoogle AdWordsのような出た分だけお金を頂戴します、というモデルはあるわけなんだけれども、こういう「結果に対してお金をいただく」というモデルはなかなか「見積」は立てにくい。その理由は「大体の予測はできるけれども、最終的には結果次第で幅があります」ということにある。
さて、ここまではみなさんもよくご存知で。
なぜこれが上記二つの思考を分けるか、という点ですが、それは、「予算から最大効果を考える思考」と「見積(というパッケージ)で物事を考える思考」の違いだ、ということ。
たとえば、従来の広告には、新聞15段いくら、だとか、雑誌1pいくらといった「値段」がついているからそもそもそれがパッケージなので「見積」が出る。これら従来的なメディア売買の思考ではそれは「こんだけの分量でいくらです」という、selling 側に大きく偏った思考モデル。一方、「グラムいくら」で売られているデリや肉類のように、それぞれの「単位あたりの価値」は担保されつつ、buying側の欲しい分量だけ購入する、という思考モデルもあるのだが、意外と日本のインターネットの世界はこのモデルになっていない(唯一といってこのモデルで売られているのはテレビのスポットCMである)。
なんでこのような話になったかというと、
「見積を出してください」
という代理店さんや広告主からのお言葉に直面することが多く、
「この予算でこのぐらいの効果が欲しい」
という話を聞くことが非常に少ないと感じているから。
また、「量で買える商品」に対して、「このぐらい欲しい」というオーダーもなしに、ただ「見積だせ」って言われても無理に決まってんじゃん、というか何も考えずに右から左にメディア流してるだけじゃんアンタ、と思わされることが多いから。
で、そういう話をしてくる人に限って、広告主の予算規模やマーケティング目的を知らない。悲しい広告業界の実情。
いっそ、そういうメディア担当者自身の「見積」を聞いてみたいもんだ、と思う次第である。
@NYC