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メディアと広告とマーケティングと。

「ニュースリリース」の「チラシ化」

なるほど、「ニュースリリース」をこういう使い方してきたか、という案件発見。

ちなみに「プレスリリース」とは主に媒体の記者etcに対して配信するもの。一方で「ニュースリリース」とは直接ステークホルダー(株主や買い手など)に届くものを想定したものと言われていて、特に後者はネットで売り手と買い手が直接結びつくようになって普及している。

2009年に邦訳が出た以下の本がその考え方の立役者。

マーケティングとPRの実践ネット戦略

マーケティングとPRの実践ネット戦略

 

 

 さて、今朝方facebookを眺めていると、友人が以下の「ニュースリリース」をシェアしていた。

 

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AUKEYという会社の新商品の「ニュースリリース」らしい。

でもよく見ると、「20%オフ」だとか、クーポンコードがついていて、以下のAmazonのページへの誘導を図り、「PR」というよりも「販促」になっている。 

 

なので、PR Times に出ているこの「ニュースリリース」は、実際は「チラシ」。

いやあ、こういうPR Timesのような ニュースリリース配信プラットフォームって、色んな新聞系etcのニュースサイトでも配信受けてるから、この「チラシ」の拡散度合いは普通に広告費払うよりも相当”お得”なことになってしまうんじゃないかな。

実際、配信を受けている時事通信社のサイト jiji.com ではこんな感じ。

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ニュースリリース配信サイトのプラットフォーム利用料だけで、こういう老舗のいいサイトに「チラシ」が掲載されるわけだからいいよね。

うまいことやってるなあ、と思う。うん。

 

と。。。。。。

 

しかし一方で、ニュースリリース配信サイトからの各企業からの情報配信を「ニュースリリースという企業からの広報情報も一つのニュースとして扱う」という前提(建前?)で、各ニュースサイトは(有料無料かは別にして)受けているはずで、もしそれが「広告宣伝」なのだとしたら、「広告費」としての請求を行いたくなるだろうと思う。

そのため、上記のような「チラシ化したニュースリリース」というのは暗黙の禁じ手なのだろうし、ニュースリリース配信サイト側が各ニュースサイトから責められることになるんじゃないだろうか。

 

 

も「広告」としての対応が求められるんだろうな。

 

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デジタルシフトするか、クビか。デジタル時代にレガシー人材のまま生きるか死ぬか。

この一年ぐらい、海外のメディア、特に放送局のエグゼクティブと話をする機会が度々あり、彼らのデジタル領域への本気度合いを教えられることが結構ある。

その中で最も課題となっているのが「人材」問題。

ほぼ全てのメディアを通じて耳にするのが、

「デジタル時代にあわせた人材をどう確保していくか?」

といったトピックであり、しかも

「レガシー人材に期待する時期はもう過ぎた」

という話である。

この「期待する時期はもう過ぎた」というのは、オフライン/アナログしかわからないレガシー人材であっても、デジタルシフトに向けた教育を適切に行えば、デジタル人材へとトランスフォーメーションできるだろうという「期待」はもうやめた、という意味である。

そのため(日本国内のブランチに限った話だけでなく)全世界において、レガシー人材はクビないしはそれ相当のことになっていて、中で人を育てることよりも、外からデジタル人材を雇い入れる rehiring 状況になっている。

従来どれだけ貢献してきた人材であっても、レガシー人材としてラベルを貼られてしまうとお役御免になってしまい放り出し、社員をそうとっかえしないと存命していけないというぐらいの危機感を国外のメディアは持っているのだ。

また、若手のデジタル人材であればまだそこそこ集められるものの、シニアのデジタル人材の確保はどこも困っていて、英語がそこそこできてデジタルでのビジネス構築・マーケティングやセールスの経験があれば、今は売り手市場ということになっている。

特に40代あたりの、特にマーケティングやメディア、広告に関わる人は「うまれながらのデジタル」ではない世代なので、自分をレガシー人材としてラベルを貼られて生きていくか、あるいはデジタル人材として見せていくかで今後のビジネス上の活躍が変わってくる可能性が大いにあるので、相当気をつけたほうがいいと思う。

もし、少しでもデジタルのビジネス(特に事業開発とマーケティング、セールスもあれば尚可)への経験をリッチにするチャンスが見つかれば、とりわけ40歳代の人は飛び込むべき。シニアリティとデジタルの両方でしばらくは食いっぱぐれがなさそうなので、リスクと思わず、チャンスを掴んでおくべきだ。

一方若い世代、20代から30代は逆に「デジタル世代」としての特別な徴用は今後なくなるので、デジタル以外でのスキルセットを身に着けたほうがいいだろう。逆に、事業開発やマーケティングのスキルというのは「デジタル外」の知識と経験によってリッチになっていくので、その点を学べばいいんじゃないかと思う。

いずれにせよ、海外メディアのデジタルシフトの本格化や、レガシー人材・デジタル人材問題を見ても、日本の市場はまだまだ牧歌的に見えるな・・・

 

追記 17.07.14)

「デジタルシフトって何?」、「レガシー人材とデジタル人材って?」という声があったので追記。ここではメディアビジネスの話をしているので「デジタルシフト」というのはメディアのデジタル化に伴う様々な変化のことを指す。例えば、受像機としてのテレビへの番組配信からインターネットを通じたコンテンツ配信、デジタルデバイス普及に伴う視聴者の視聴体験の変化(デバイスの多様化、タイムシフト視聴etc)、そして広告商品や販売形態の変化など。そして「デジタル人材」とは、デジタルシフトした放送局ビジネスにおいて商品開発や商品販売、それに伴う各種分析などを行うことができる人材を指す。「レガシー人材」とはアナログ時代の旧来の放送局のやり方や広告ビジネスしか理解できない人々、ということ。

 

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「炎上」と「バズ」は何が違うのか?

企業がやってるキャンペーンで「炎上」してしまうと、

 

「炎上狙いでしょ、代理店が企画した」

「炎上商法上等!」

炎上マーケティングで商品売ろうとしてるのかー」

 

といったコメントがソーシャルメディア界隈で見られるけれども、実際のところ「炎上」を狙って広告やマーケティングを企画することなんて、本当にありえない。

 

「炎上」することによって知名度があがることよりも、それによってブランドイメージや企業イメージと呼ばれるものが毀損されることのほうが企業は嫌がる。なのでまあまず「炎上狙い」なんてやらない。企業によるキャンペーンが「炎上」してしまう件は全て「意図せず」起こってしまったものなのだ。

 

で、一方で「意図して」行おうとするのが「バズ」である。もともとはネットに限った話の言葉ではない、”蜂がぶんぶん言う音”から転じた「話題になる」という言葉ではあるが、今はまあ「バズる(らせる)」という言葉の意味は「”ネットで”話題になる」ということどほぼ同意になってると思う。

 

さてじゃあ「バズ」と「炎上」というのは何が違うのかというと、「バズ」は意図して行い、企業(や商品・サービスなど)へのポジティブな関心を持ってもらうことにあり、「炎上」というのは意図せず起こり、結果として企業(や商品・サービスなど)へのネガティブな関心を形成してしまうことにある。

 

この2つの違いは発生するメカニズムは似たようなものであっても内実は違うのであり、後者を意図的に企業が行うことはやはりない。

 

前者の「バズ」を起こさせる仕組みというのは、単に面白コンテンツを作るというだけでなく、どのような導線でその情報が広がっていくかを設計しておくのも重要(書いて思ったけれども、だいたい「炎上」しているコンテンツって「面白さ」を狙って燃える気がする)。

 

もう古い本にはなってるけれども、『次世代コミュニケーションプラニング』の第四章 「クチコミ」を再考する の箇所に「バズ」などについて構造的かつ演習的に書いているので興味ある人はページを開いてみて欲しいと思う。特にコンテンツを作るだけではダメ、という部分。面白コンテンツでなくても広げることは可能、という部分について注目して読んで欲しい。

 

次世代コミュニケーションプランニング

次世代コミュニケーションプランニング

 
 
 

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7/18 アドテック関西(京都)に登壇。ネイティブ広告についてディスカッションします。

登壇の告知です。

来たる7/18から20にかけて京阪神で開かれる『アドテック関西』の京都会場にて「ネイティブ広告のビジネスとしての可能性」というテーマでパネルディスカッションを行います。

 

adtech-kansai.com

 

このセッションは事務局側の方々がこちらの難しいリクエストについて応えてくださった結果、開催が可能となっております。ありがとうございます。

さて、「ネイティブ広告」については過去いろいろなところでセミナーやパネルディスカッション、業界メディアでの記事などで取り上げられてきていますが、そのほとんどがコンテンツマーケティングの入り口的な観点やクリエイティブ的な話や、いわゆる記事広告やスポンサードコンテンツと“混同”されたネイティブ広告の話だったり・・・という状況があります。なので、こうしたテーマについては、もうみなさんあちこちで聞いてきたことでしょう。

そこで今回のパネルディスカッションでは、より「媒体社のビジネスとしてのネイティブ広告」や「ネイティブ広告のマーケティング価値とその事業化」という観点を持って、以下のテーマで「ネイティブ広告」の現在とこれからを話すセッションにする予定です。

  • ネイティブ広告の取引形態・販売モデル
  • ネイティブ広告のプログラマティック取引の理想形
  • 媒体社の収益向上・収益モデルの多様化としてのネイティブ広告
  • 広告主にとっての新たなブランディング手法としてのネイティブ広告の可能性
  • ネイティブ広告の現在と未来
  • RTB2.x, Native1.1
  • ネイティブ動画広告がもたらすブランドリフト
  • Dynamic Creative Optimization

などなど・・・

”緩い“話でまとめるセッションではなく、聴衆の脳みその中をこねくり回し、場合によってはついてこれないぐらい先を見て、媒体社と広告主のマインドセットを変えるようなものにしたいと思っています。

現在発表済み登壇者は、The Trade Deskの新谷カントリーマネージャーと私だけですが、媒体社側からも登壇内定済みです。

このセッションについては、参加された皆さんにがっつりと後につながる学びを持って帰ってもらうつもりです。

 

主に媒体社の方、ネイティブ広告の深いところを知っておきたい広告主のみなさま、時間が許せばぜひご参加のほどよろしくお願いします。

”パクリ”問題は「キュレーションメディア」だけの問題ではない。世界最大の動画共有サイトで起きてる問題。

昨年、CampaignAsiaにキュレーションメディア問題などについて寄稿をしましたが、実は”パクリ”問題がもっとも横行していると感じているプラットフォームがあります。そしてその現場のプラットフォーム提供者が対策を講じてないか、あるいは対策が遅れているのか、どうしようもない状況であるのは間違い無いようです。

”パクリ”問題の本質は、1)他人の著作物を勝手に利用しているという著作権における人格権の問題と、2)それによって何らかの利益を得ているという著作権における財産権の問題、この二つに無頓着であるということから起きてるように思います。

特にこの”パクリ”問題については、1)の観点での話で語られることが多いように思いますが、私の場合は2)の方が気になります。これはいわば「フリーライド問題」とも言い換えられるべきもので、他人の著作や労力に”タダ乗り”して利益を得るものです。キュレーションメディア問題でも、以下に書くものものどちらも他人の著作物・コンテンツを使って自らの懐に金を入れてくという悪しきモデルを持っています。そしてその”金”の源は”広告費”。広告主から出ている”金”な訳です。

さて、前述した”プラットフォーム”とは何でしょう?

それは世界最大の動画共有プラットフォーム、YouTubeです。

先ごろ大手ブランドがこぞってYouTubeから広告を引き上げたことは、業界関係者であればほぼ知っているニュースでしょう。

www.huffingtonpost.jp

米国でのこの出来事は、ヘイトスピーチなど政治的な動画や倫理的に問題のある動画の周辺にブランド広告が出ていたことによる「ブランド毀損」が問題だということです。

しかしながら日本で特に問題が起きてるなと思うのは、米国のそれとは違い、先述したようなキュレーションメディア問題と近しい”パクリ”問題において、ブランド広告が出ているという点です。

例えば以下の動画をみてください(きっと後々削除されるかも)。


【映画】”中国に奪われた米国版『GODZILLA ゴジラ』続編”が『最悪すぎる新展開』を迎えた模様。日本側も心底呆れている模様 もうハリウッドはおしまいか…『日中韓ニュース研究所』


【驚愕】ジョンベネ殺害未解決事件の真犯人はやはり〇〇だった!!とんでもない真相!!


【文春砲】高畑裕太・事件の全真相が文春が明らかにした!慰謝料は1500万円!起訴されれば無罪を主張する案件の意味が理解できた!【芸能うわさch】

 

こういったテキスト+静止画(ないしは動画)の組み合わせのコンテンツが多数YouTubeに上がっていて、見かけた方もいらっしゃるでしょうが、例に挙げた上記3つも全て元ネタがあります。

一番最初のゴジラネタは、cinematodayの以下の記事。

www.cinematoday.jp

次のジョンベネ事件のはこれ(間違ってる部分までそのまま

tocana.jp

最後の動画はデイリーニュースオンラインが元ネタ。

高畑裕太の強姦致傷事件の夜の真実 被害者女性のジーパンを脱がし避妊せずに性行為 彼氏と名乗る暴力団関係者(1ページ目) - デイリーニュースオンライン

 

ざっと見る限り、それぞれの動画のアップ主と元記事との関係はないように思います。

となると、これは記事をパクって動画を作ってるわけで、動画によっては広告も出ているわけで、それぞれの動画チャネルのアカウントの持ち主は広告収入を得ているはずです。

上の動画とその関連動画を見てみればわかりますが、結構日本の大手ブランドの広告も出ていて、しかも日本人はこの手のコンテンツが好きなのか、結構な再生回数を稼いでます。

実は自分はもともとYouTubeを日本に持ってくる仕事をしていたので、こういう状況には非常に残念に思うわけですが、パクリが横行し、そこに広告主が知らず知らずに援助を施すことになっている状況を見ると、これはプラットフォーマー側の怠慢であると言わざるを得ません。

このような「記事を使ったパクリ動画」が横行しているようでは、日本におけるYouTube広告は、”キュレーションメディア問題 x 不適切な動画への広告掲出”という、国内事件と米国におけるそれとの二重の課題をミックスしたような状況にあると思われます。

YouTubeでは古くは海賊版動画が問題になり(これは今も巧妙に動画を加工して続いてますが)、それらには著作権者が納得するようにずっと努力をしてきていたはずです(最近はわからんが・・・)。同様に、こうした「記事を使ったパクリ動画」においても何らかの対策を講じていかねばならない事態になるでしょう。

今、日本の広告主はこういうことに気づいてないだけだと思いますよ!

何にせよ、こうした「フリーライド問題」は、悪質な情報商材やマルチなどと同じく、ネットにおけるマネタイゼーションの闇だと思います。とりわけ広告はそのターゲットになりやすい。

このことは業界関係者が認識しておかねばならないことだと思います。

 

 

 

 

※最近めっきりブログのほうは更新少なめになってますが、facebookグループを使った以下のサロンでは、マーケティングブランディング、メディアなどに関する情報とコメントを随時投稿しております。ご興味ある方はご覧ください。

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synapse.am