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次世代型広告マンは、大手広告代理店には作れない?

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■次世代型広告マンの育成プロセス:コラム - CNET Japan

横山さん、なかなか辛らつな。

でも、僕も正直、「新しい時代の広告マン」への要請は、すでにこの5年ぐらいの間で起こり続けていることだと思うし、どれだけ、大手広告主の人々が「いや、本気になったらうちもできる」と言おうが、じゃその本気についていつ見せてくれるの?な状況なわけだ。それもそのはず、横山さんの言を借りると、

広告会社は大概マス広告枠を売るために何十年もかけて作り上げた職能と組織体制で編成されている。広告会社における分業制は、マス広告枠を売るためにできている。このフォーメーションとそれぞれの職能形成のプロセスのなかにいては、次世代型にスキルを変革するのはまず無理である。

というわけだ。

横山さん的には、

「次世代広告マンの育成」を考えると、ネット広告スキルをベースにした人材と、従来の広告マンでもコミュニケーション開発のスキルを持った人材との融合に大きなチャンスがあると思う。従来の広告文化で育った者と、ネット広告文化で育った者とで創るハイブリッド効果が次世代の広告を動かす源泉となると思う。

とされているわけだが、僕の経験として、従来の広告マンの中で、次世代に対応できる“コミュニケーション開発”のスキルセットを持った人は合計して20人もいないのではないか、と思う。

期せずして、今日ふらりと遊びにいったスダシンさんのところで見つけた日経新聞9/16付朝刊に、電通の高嶋社長のコメントが載っていた。それによると、電通は媒体を横断的にプラニングできる『ストラテジスト』を育成することに注力するとのことだ。

こうした大手広告代理店の動きは非常に注目に値するし、その方向性は妥当なものであると思う。しかしながら、では誰がそれを教えるのか? という点に目を向けると疑問点が残る。結局そこで古い枠組みでしか発想できない人々が集まってしまうと、うまくいかないわけで、教える立場になれる人材がいるのかどうか...。

結局は、既存大手広告代理店の問題は、「(市場にあった)人材の再生産」に失敗していることにあるのではないか? むしろ、市場に対して的確なコミュニケーションプランを提案しなければならない広告会社自体が、市場からズレた、変化に対応していない「人材の再生産」を行っていることにあるのではないか?

と思うのだが...。

よく思うのだが、広告業界・広告会社で優秀だ、と思われた人ほど、独立ないしはまったく別の職についているケースが多い。つまり広告会社に残ることをしないので、結局は優秀な人材の再生産がされない構造になっている。これを防ぐには会社自身が魅力ある存在になるしかないのだが、実際のところは、また横山さんの言を借りると、

「インターネットの登場で、ビジネス環境は大きく変わるのだろうが、従来のビジネスモデルも生き残るのか、生き残るとするとどの程度なのか……。このままやっていけるものなら、せっかく創ったビジネスモデルをわざわざ自ら壊すこともないし……」これが、業界の素直な気持ちである。

といった感じで、問題の先延ばしをし続けている。

昔、本田宗一郎は次のように言ったらしい、

「怖いのは失敗することではなく、失敗を恐れて何もしないことだ。」

先延ばし=何もしないこと、では済まされない状況になっているわけで、それはきっと死を意味する。

広告業界の最大の危機的状況は、実はメディアの変化自体にあるのではない。それすらも外的要因のひとつであり、集約すれば、人材の育成の機能不完全にあるのだ。

しかし、広告業界自体は企業のマーケティング活動が続く限りずっと存在し続ける。次世代の広告マンの育成とは、あくまでも時代の要請に対応した存在なのである。

ドラッカーいわく、

「我々が行動可能なのは現在であり、また未来のみである」

広告業界の人材問題関連のエントリーは、下記のとおり。


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■教育の再生と人材
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