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"Database of Intentions"の訳

持っていなかったので、John Battelle の"The Search"日本語版『ザ・サーチ』をふらっと立ち寄った書店で購入。

自宅に戻り、ちらちらとめくってみた。そこで違和感。

それが、 "Database of Intentions" の訳。

日本語版では「意志あるデータベース」と、まるで人工知能か何かのように訳されてしまっている。

しかしながら、このコトバが掲載された周辺の内容にもあるように、「人々が何かをする」という意味での intentions をココでは指しているはずだ。

たとえば日本語版で言うと8p-9p付近では、

「このようなデータベースに表現される『意志の痕跡』には太刀打ちできない」
「顧客が何を買い、何を探しているか、あるいは買いたくないのかを、~」
「消費者が欲しいものをあらかじめ知っているから」

という事例で説明しているように、「何かをしようとする=(consumer側の)意志」を指しているのであって、データベースそのものが「意志」を持つわけではない。

もし後者なのであれば、"Database of Intention"であって、複数の「意志」をあらわす"intentions"という表現にはならない。

また、"Database of Intentions"は元 wired の編集長でレトリック好きな John Battelle ならではの的確な表現であって、これまではデータベースといえば情報の塊(="Database of Information")だったのが変わってきている、という話なのである(実際、僕が参加した昨年の ad:tech NY では彼はその手の話をしていた。ちなみに "The Search" にサインしてもらいました。ミーハー。)

というわけで、"Database of Intentions"とは 「(consumer or 人々の)意志の集まるデータベース」 と訳すのが正確なのではないかと思うんだが...。

というか、前後を読んでくとこれしか考えられないのだ...。

皆さんどう思われますか?

(訳者あとがきを見る限り、自らを「アナログ世代」と呼ぶ訳者はこの領域に詳しくないようだ。しかし上記の件を除くと、全般的に読みにくい Battelle の文章をここまで訳したなあ、と敬服します。)


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