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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

WPP・マーチン・ソレル、語る

グローバル広告グループのWPPのマーチン・ソレルが語る、既存広告業界への警告。
やはり彼は、現在の広告業界における世界的No1人物です。

■Sorrell warns ad industry is failing to understand digital age(BrandRepublic)

以下、本文と簡単な訳を掲載しておきます。

LONDON - Sir Martin Sorrell has warned that the advertising industry is failing to understand the scope and scale of change that is going on in the digital age.

マーチン・ソレルは広告業界がデジタル時代に起きつつある変化の大きさと見通
しについて理解をしていないことに警告を発した。

Speaking at the IAB Engage 2005 conference in London today, the chairman and CEO of WPP Group warned that there was a tremendous pace of change, which was not being fully grasped.

ロンドンで開かれた、IAB Engage 2005 にて、WPPグループのCEOである彼
が話したのは、全てを把握することができないほどの凄いペースで起こっている
変化について、である。

He said it was a "cop out" to talk about children and grandchildren having different media habits. "It's happening now," he told delegates.

子供や孫が自分たちとは違ったメディア行動をしていることについて話すことは
ある種の「告発」であり、「それは今まさに起こっていることなのだ」と彼は話
す。

Sorrell blamed the failure to react on the age of people who run the major media and ad groups, mainly in their 50s and 60s, and a reluctance to change.

ソレルは、主要メディアや広告会社を経営する人々の多くが50~60才代の年齢で
あることが影響していること、彼らが変化を好んでいないことを非難している。

Highlighting the rate of change, Sorrell cited the Chinese version of 'Pop Idol', where 800m votes were cast by mobile phone during the final episode -- even though China has only 400m mobile phone handsets.

変化の度合いの重要性について語るソレルは、「Pop Idol」(※スター発掘系オー
ディション番組)の中国版を引き合いにだし、最終話までに8億(!?)の票が
携帯電話を通じて投票されている例を語った(中国だけだと、携帯電話は4億台
のはずなのだが)。

Although he said he had a lot of respect for Rupert Murdoch, chairman of News Corporation, Sorrell raised questions about his internet strategy.

ソレルはニューズ社社長のルパート・マードックを非常に尊敬していると語った
が、マードックのネット戦略には大いに疑問を感じているということだ。

Murdoch has recently been on a major digital buying spree, snapping up several internet firms.

マードックは最近、デジタルなものを買いあさることに執着しており、いくつか
のインターネット関連企業を購入した。

News Corp recently bid £64m for Australian internet property site realestate.com.au and it bought videogame and movie website company IGN Entertainment, which owns GameSpy and Rotten Tomatoes, for $650m (£365m) and MySpace.com for $580m.

ニューズ社は最近6400万ポンド(約130億円)を投じてオーストラリアのサイト
realestate.com.au を買った。そして、ビデオゲーム/映画のサイトであるIG
Nエンタテイメント(GameSpy/RottenTomatoesを持つ)を6億5千万ドル(約8
00億円)で、MySpace.comを5億8万千ドル(約750億円)で買収している。

Speaking on wider issues facing the industry, Sorrell said that a major issue would be the shortage of human capital.

しかしもっと広い視点でメディア/広告業界が直面している問題について言えば、もっとも重要な問題は人材資産の不足である、とソレルは言う。

"The critical deficiency we will have to face is the supply of good people," he said.

「我々は良い人材を供給できないという危機的な人材不足に陥るだろう」

Sorrell said that even after people who quit large agencies during the first dotcom boom returned to larger companies, re-entry interviews indicated that they did not regret their experiences, implying that with a second internet boom upon us, this trend would re-emerge.

ソレルは、次のようにも言う。最初のドットコムブームで大きな代理店を一旦は辞めた人々が、再度大会社に戻って来る際の面接でも、自分たちの経験を後悔に思っていることはなさそうだった。ということは、二度目のドットコムブームにおいても、同様のことが起こる可能性があるということだろう、と。
(※つまり、大きな代理店・大会社にいる人材が再びそちらに流出するだろう、ということ)

訳、ここまで。

日本の広告会社にここまで見えている広告会社役員はどのぐらいいるのだろう...。

AdInnovetor 織田さんも語っているように、今の広告会社の課題は「組織論」。新しいメディアの変化そのもの、ではなく、メディアの変化に対応できない組織(や人)にあるのは確実です。