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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

資生堂UNO、ギネスに挑戦の次は?~BEについて考える

とんでもない数のCM本数でギネスに挑戦した資生堂UNO

今度はオリジナル・バンドを作るという、これぞブランデッド・エンタテインメントな新たな挑戦へ!

■U.N.O. BAND

聞くところによると、このUNOのキャンペーンはこれまでにない意思決定プロセスと人員で作られた、とか。僕も伝聞なので詳細は言えないけど、宣伝担当とマーケティング担当ってやっぱ違うんだなとか、(既存のメディア・広告の使い方に頭が凝り固まった)広告会社の人間に任せっぱなしじゃダメだな、って話につながるようなこと、だった。

で、実際この商品、相当売れてるらしい。要は、ちゃんとしたマーケティング視点でやればモノは動くし、「広告」も復活するってことだね。

ブランデッド・エンタテインメントって広告会社のクリエイティブとかの人間はCMの延長線上のように自分たちで作りたがるが、どうもね、文法が違うので、普通に
彼らに任せてもうまくいかないような気がしちゃうんだよね(この点、若手優秀制作マンの一部は気づきだしている。これまでの広告じゃだめだとこれまでのクリエイティブ体制ややり方に疑問を呈していいる若者が増えているのはいいことだ)。特に自分の作った広告のことを「作品」っていうような人たちには作れないんじゃないかなー、って思うこともある。

「広告とは事件を起こすことだ」ってジャック・セゲラは言ったけど、ブランデッド・エンテタインメントって、「広告コンテンツを作ること」として考えるのではなく、「広告という事件を起こす手段」だって考えたほうがいいと思うんだよね。

以前、日産自動車さんの WebCINEMA TRUNK (※1※2※3)というのをプロデュースさせていただたいたときにも、実は目指したのは、「日経新聞に載ること」だったりした。というのも、「どこどこがどこどこを買収した」とか「どこどこが新しいツールを開発した」という“広告業界”のニュースはあったものの、“広告そのもの”がニュースになることってのがホントに無かったから。なので、プロジェクトとして目標としたのは“(TRUNKという)広告そのものがニュースになる”ということだった。結果、日経新聞グループだけで計4回ぐらいプロジェクトの名前が掲載されてパブリシティ効果も、出た。「あのキャンペーンを見て応募しました」っていう就活中の学生もいたんですよ、とも聞いたし、「ああ、事件おこせた」と思惑通りにいって僕自身にも自信がつきましたね(笑

で、結局は、企業活動=マーケティング=商品・サービスが売れること、に還元されるための一手法がブランデッド・エンタテインメントなので、コンテンツつくりゃあいいってもんじゃあない。このUNOのキャンペーンは最近よく言われる「BUZZ」(=ハチがブンブンいって飛んでるあの羽音=転じて、“話題になって目立つ”ぐらいの意味)を起こした。で、店頭での商品注目率も高め、最終的に商品が選ばれる「買い場」で手に取られるようにした。このキャンペーンは、コミュニケーションに関わるビジネスに従事している人がケーススタディにしておくべきだろう。

でも、UNOのキャンペーンって「どこが面白いの?」とか、「作ろうと思ったらできる」とか、「どこがすごいの?」って言っちゃう人がいるんだよね、実際話をしていると。そういうのが広告会社の制作系の人たちだったりしたら、「ああ、この人たちは死に行く人たち...」って思えてしまう今日この頃(-_-;;;

人を動かすために作らなくちゃいけないのは、「広告(物)」ではなくって「キャンペーン」。