■ディズニー、「子供の肥満」が原因でマクドナルドとの提携解消
両者の提携は10年以上に及ぶらしい。
しかしながら、高カロリー食品が子供に及ぼす影響というネガティブな消費者の認識によって、この提携を続けることはできなかったようだ。
このニュースは単に大手二つの会社の話だけではない。
消費者の社会的認識の変化が、マーケットに大きな影響を及ぼす、ということだ。
えてして最近のマーケッターは近視眼になりつつある。こうした視点は、大きく時代が変化するときに一向に役に立たない。
たとえば、インターネットユーザーがこれほど増えているにも関わらず、企業内の広告担当者、広告業界に属する人々、といった人々の中には相変わらず、この大きな変化に気づいていない。
もともと僕自身、こうした人々がなぜそちらに目を向けないのか?についてはただ単にわからないものを拒否しているだけだと思っていたのだが、実はそうではなかった、と最近では思っている。つまり、「大きな時代の変化」に対する「ものさし」を持っていないだけなのである。
つまり、ポストモダン論議の中でよく言われる「大きな物語の終焉」に対応できてということなのだろう。
こうなれば、もう対応できないマーケッタや広告業界関係者は死に行くしかない、としか言えない。
よく、「そうはいってもTVCMは残るし、これまでのクリエイティブだって残る、だから生き残れる」という話を聞くのだが、こうした世の中の変化=“物語”の変化は、なにもTVCMが崩壊するとかそういう話を言っているのではない。それすら世の中の変化の中で新たに組み込まれるのであるから、たとえば近視眼的思考だけでTVCMというものについて考えていたら、結局、時代に対応できていないTVCMの使い方しかできない、ということになってしまう。
なので、大きな時代の変化=大きな物語の終焉、を理解する=一度上位概念・より上位の視点から、マーケットやメディアの“地図”の変化を理解することが重要なのだ。
これらの変化の中で一番自由に泳いでいるのは消費者自身であり、マーケッターや広告業界関係者ではない。なので消費者は認識をどんどんこの環境変化の中で変化させつつあるものの、マーケッターや広告業界関係者は過去の「成功体験」から離れることができず、どんどん動脈硬化が進み、考えることができない脳死状態に陥ってしまう。
時代についていくためには「視点」を水平方向に変えるのではなく、上位から見るという垂直方向の視点変化をしなければならない。
このことに気づけるマーケッタ・広告業界関係者は、これから待ち受けているまだまだ楽しい世界を享受することができるだろう。
気づけない人はどうなるか? うーん、知りません...
この本が「大きな物語」について書かれた最重要書です。
ポストモダン・マーケティングには必読の書です。
「大きな物語」を日本的な文脈で理解するための書。
大塚英志の本は、社会学者の間では批判も多いが、考えるためには非常に役に立つ本である。