岡康道さんと吉田望さんの「ブランドII」を読み終えた。
いろんなとこで全体の感想を述べられているからそれはそれに委ねるとして、僕が驚いたのは岡さんも吉田さんもネットに対する注目度が非常に高いということ。岡さんも吉田さんも、ネットが出てきたことで広告コミュニケーションがより幅が広くなるであろうと理解されている。
吉田さんは電通総研とかでメディアをやってたわけだから、当然のようだが、まさか今度つくった新会社が"アカウント・プラニングとネット・クリエイティブをやる会社"だとは。
しかしそれ以上に驚いたのは岡さんのネットに対する興味。
岡さんいわく、TVCMや新聞広告は、ネットも含めた一連の広告コミュニケーションにおける「1ページ目」なのだという。!!!!!!!!。
僕は以前から、「インターネットが出てきたことでTVCMとかの価値が下がる」とか「マス広告は価値がわからん」という人たちが大っ嫌いである。実は。
(そういう人達はこれを読め!これ読んでから出直してきてくれ!!!)
どちらかというと、ネットが出てきたことで、TVCMや新聞広告の役割がハッキリするのではないかと。
マーケティングにおいては、Purchase Process とか、 Purchase Funnel というコトバがある。
日本語に直せばは「購買行動プロセス」といったところ。
この Purchase Process は、商品認知/理解/検討/購入など、商品を知ってから購入するまで(場合によっては購入してロイヤルカスタマー化するまで)の行動を図示化したものなのだが、これを、「情報行動」と結びつけることが非常に重要なのだ。
例えば「商品を知る」という段階ではマス広告はいまだに効く、しかし一方で商品検討や購入に(最近)貢献しているのがインターネットである。。。ということを、業種別/商品カテゴリー別に明らかにする。
これによって、一連の広告コミュニケーションにおいて、「どのメディアを使って/どういう風にコンシューマに関わるべきか」が非常にハッキリするのである。
なので、ネットが出てきたことは、マス広告を駆逐するのではなく、マス広告の役割をより明確にし、かつメディア間でのシナジーを図ることで企業とコンシューマのコミュニケーションを強固にするのである。
で、岡さんの言う「1ページ目」。
わかりやすい。
と考えたときに、僕らインタラクティブ領域のマーケティング/クリエイティブ従事者は、こうしたコンシューマの購買プロセスをちゃんと把握し、その中における役割を位置づけることはちゃんとできているだろうか? むしろ、ネットの世界は(これは広告業界のせいだということもあるが)独自すぎるきらいがある点には注意しなければならないのかもしれない(だからこそ上記したようなマス批判するような輩が出てくるのだろう)。
僕らは、「1ページ目」である”告知系”メディア(TVCM・新聞広告からバナー広告やターゲティングメールも”告知系”)やそれ以外の方法も含めて築かれて来たブランドから、受け取ったバトンをちゃんとゴールまでつなぐ「2ページ目以降」としてコミュニケーション・プラニングをしていなければならないのだ。もちろんネットのプラニング全てでこの姿勢を貫くべきだ、ということではない。むしろ、今いちばん”薄い”のがこうした姿勢なのではないか、と思うのである。