mediologic

メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

広告の未来について、私見

今日、渋谷の某女社長とお茶をする機会があり、話をしている中で自分の頭の中に広告の未来についてなんとなく整理が付いてきたような気がしたので、ここに書いておく(人と話をするとホント脳ミソがまとまる)。

■広告の未来は大きく2つの方向へ

(1)contact point (touch point)とmedia neutral/media blend的なクリエイティブの浸透
(2)relevant な広告露出を行うメディアの進化。

(1)はクリエイティブの「解放」。テレビCMや雑誌広告といった「枠」からの「解放」。"Out of Box"。コンテンツ/コンテクストに合わせたメディアの利用とクリエイティブ。メディア「枠」からの発想ではなく「コンタクト・ポイント」から発想された新たなクリエイティブ手法の浸透。日本でのその動きの芽がこの会社。(取締役インタビューもチェック

(2)は google の Adwords/Adsence や Overture、各アフィリエイトや contextual targeting / behavioral targeting といった、「消費者の購買行動に合わせた relevant (関連性のある・妥当な)広告配信システム」の進化をさす。今はネットだけだが、これらの技術はいつでも既存マスメディアに転用可能なはず。つまり、マスメディアが死ぬのではなく、TiVoのようなものやこれらの技術の組み合わせで、マスメディアの「広告配信」の仕組みが変化する可能性が大いにある(これほんと。裏情報によれば。。。)。

また加えて、メディアや広告の効果測定についての第三者的な広告主向け調査会社、という新しいビジネスも出てくるだろう(今、広告効果に特化した事業体は日本にはない。海外ではこういった会社こういった会社のこと)。

というわけで、これらは広告主にとってもメディアにとっても、そして消費者にとっても喜ばしい結果をもたらすだろうが、課題が残るのは広告会社だろう。消費者のメディア利用の変化によって、広告主はマーケティング手段を変えればいいわけだし、メディアは収益モデルを変えればいい。では広告会社は??? うーん重たい。

■ full service agency と diversified advertising service

広告会社の”重さ”は full service agency というシステムにあるのかもしれない。非常にしっかりと数十年かけて作られてきた日本型の「コミッション」方式でお金をいただくモデルは、それゆえマーケティングサービス部分をコミッションに包括してしまう場合が多い。またコミッションは”広告主からではなく、媒体社から手数料を受け取る”というモデルゆえ、「媒体社の代理店」でありながら、広告主へのサービスについては、その手数料から「コミコミ」で行うとしてきた。ここに「フィー」への移行の難しさがある。あまりにも長く完成されたモデルなので、変化させるのは難しく、時代の変化に対して、ビジネスモデルの変化が遅々として進まないのも致し方ない。

一方で、diversified advertising service というのは、「いろいろな広告サービスを提供する(グループ)」という意味合いがある。full service の agency との違いは、リサーチならリサーチ、インタラクティブならインタラクティブ、ダイレクトマーケティングならダイレクトマーケティング、と専門会社をグループとして保持していく、という考え方である。持ち株会社が時代の要請に合わせて、グループの再編と必要な事業体の買収を行う、という市場への対応スピードの速さ・柔軟な対応が可能。いわば、コンビニの棚戦略のように、顧客のニーズに合わせて”商品”をそろえて行くのである。これなら、もし未来の広告が今の広告とは違ったものになったとしても生き残れるだろう。

さて、日本の広告会社は今後どうなるか?

ノーコメントm(._.)mとさせていただきます。

(アタマの中にはあるんですが(笑))