mediologic

メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

”売る”ためのマーケティング。機会”を作るためのマーケティング。

"Say it with flowers"

これは、FTD(Florists's Transworld Delivery)が1917年に使ったコピーである。

FTDは花屋同士を結びつけ、花のデリバリーサービス(実際には地元の花屋で申し込みをし、送り先の近隣の花屋で組んでもらう)を行なっている事業体だ。日本でもFTDに加盟している花屋は多いので知らず知らず使っている人はいるだろう。

さて、この"Say it with flowers"というコピー。花を売っているところが花自体のプロモーションをしているというよりも、花の送る”機会”を創出するために行なっているような気がする。

これは、僕自身が、「(コミュニケーションプラニングの手法によって)商品をサービス化する」としている視点などとも共通するスタイルだとも思う。広告やコミュニケーションプラニングというのは、必ずしも商品やサービスそのものを直接的に売るだけでなく、商品やサービスが受け入れられる環境や機会を作るというのも大きな役割だと考えている。それを一つには”コンテクスト”という言葉を使い、”受け入れられるコンテクストを作ること”がコミュニケーションプラニングそのものと呼んでいたりもするのであるが、結局のところは受け手にとってどういう価値で受け入れられるのかを設計し構築することであり、立脚点はその商品・サービスを使う側の目線・価値にあるという点においては、どのような言い方をしようが本質的に同じことである。

"Say it with flowers"

花そのものを売るのではなく、感謝・告白・祝辞など何かを”言う”という機会を提案し、そこに一緒にお花をと同時に提案している。

"Say it"の部分は受け手にとっては色んな”it”が思い浮かぶはず。しかし、"flowers"は"flowers"なのだから、多様な"it"に対して“flowers”を、という非常によくできた今からほぼ100年前のコピーに、コミュニケーションプラニングやマーケティングというものの本質、変化しない何かを感じざるをえない。