東京国立博物館で開かれている「国宝薬師寺展」に関連したNHKの番組「迷宮美術館」の特集を見ていて。
■“仏像”ができたのは意外に遅い。
もともと釈迦(ゴータマ・シッダッタ)入滅(紀元前383年?)後500年ほど、古代インドでは仏像というものはなく、“仏足石”にて表されていた(なので古い仏教美術・壁画・石彫に釈迦の姿は見当たらない。仏足だけが描かれている)。日本で一番古いものは奈良薬師寺のもの。その後、1-2世紀のガンダーラ文化にて、ギリシャの影響をうけて仏像ができるようになる。それがインド・中国・韓国・東南アジア・日本につながる。
■菩薩像と如来像それぞれの特徴
菩薩像は出家前の釈迦を表現している。釈迦は王子だったため、菩薩にはそれが反映されたアクセサリが多いのが特徴。
如来像は、悟りを開いたあとの釈迦を表現しているので、簡素。
■菩薩像に見られる、美しさの表現。
菩薩像によく見られる、首、胴、腿の身体を三つに曲げた描写は「トリバンガ(三屈法・三曲法)」と呼ばれる動きのある美しさを際立たせる手法。アジャンタの石窟の壁画でもっとも有名な「蓮華手菩薩像」などにも見られる。
薬師寺の薬師三尊像の場合、薬師如来像を中心に右に日光菩薩、左に月光菩薩を配置しているが左右の菩薩の対照的なトリバンガが動を表現している一方、薬師如来は落ち着いた静を表現している。