仕事柄、国外からのビジネス訪問客と接する機会がしばしばある。
訪問先に行く前に彼らに聞かれる質問としてよくあるのが、
「ノリ、今日のミーティングって、スーツでネクタイがいいのか?」
といったこと。
初対面でのpresentationの中には見た目も含まれる。
彼らの目からすると、日本人は丁寧で礼儀正し、ビジネスではスーツ(ネクタイあり)の印象が強いようで、それに合わせてミーティングに臨もうとするようだ。
When in Rome as the Romans do.
のように、
When in Japan as the Japanese Business persons do.
なのだろう。
さて、この態度というのは、グローバルに展開するビジネスは、すなわち「異文化コミュニケーション」である、ということを表しているように思う。
日本からの参加者とともに欧米のカンファレンスに参加すると、日本人の参加者だけ雰囲気が違ったりすることがある。カンファレンスにはドレスコードが記載されていることがあって、特にマーケティングのカンファレンスなどは、ビジネスカジュアルが推奨されてることが多い。
また、海外でのミーティングに参加すると、日本からのビジネス訪問客だけ、ビシッとスーツに身を固めて浮いてるシチュエーションに出会うこともある。
さて、僕が言いたいのはもちろん服装の話ではない。
ビジネス相手が日本人じゃない場合、その相手の出身国や居住地などによる文化が、意思決定やビジネスプロセスに影響することが多々あり、それが前述のように異文化コミュニケーションである、ということを理解することは重要だということを挙げておきたい。この点において、日本は(正しく感じるかどうかは別にして)海外の訪問客は、調べ、観察している。一方で、日本人の場合、訪問先の国のビジネス文化を調べるという訓練を受けていない。
この異文化コミュニケーション、一般的なそれぞれの土地の文化とビジネス上でのそれとは違うかもしれないことも理解しておくべきだろう。
例えば、時間に対するとらえ方も、過去、現在、未来を一つの時間的枠組みで考える文化もあれば、それぞれをきっちりわけて考える文化もあり、そのどちら側のビジネス文化なのかによって時間感覚が違う。
例えば、プロジェクトが始まるまえにプライベートな会話を共有しながら食事をしたほうが、仕事がスムーズに進む国もあれば、まったくプライベートの話を仕事仲間に出さない国もある。
このようなことを理解しているかどうかというのは、他の地域の文化に対して尊敬の念を持ち、自らの文化について謙虚になるということではないか。
海外に目を向けてビジネスをする上で、こうした「異文化コミュニケーション」は知っておいて、まず損はない。
この領域の古典的な名著が、トロンペーナーズとホフステードの以下の二冊である。
これら二冊は手元に置いておいて間違いない。 各国・地域別に、どのようなビジネス文化があるのか、それを理解するとっかかりに読むにはこれからがよい。
ホフステードのほうは邦訳が出ているようだ。
他にもユーザビリティを異文化体験観点からまとめているレポートも最近出た。
このあたりはよい指南書になると思うので、ぜひ一度は目を通してみることをおすすめしたい。
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