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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

「世界は、ひとつづつ変えることができる」のキャンペーンから考えるクロスメディアのあり方と、「広告の世界も、ひとつずつ変えることができる」かも、という期待

■世界は、ひとつずつ変えることができる FUJIFILM

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FUJIFILMの企業キャンペーン。

たまたまテレビを見ていて、このキャンペーンのCMを見て、「続きは and-fujifilm.jp へ」と出たのでサイトまで見に行った。

FUJIFILMの行っている最新研究・技術を垣間見ることができる企業キャンペーンサイトなのだが、なるほど、ほー、と思わされることも多く、面白い。

ただTOPページから各コンテンツへの導線が、表紙にメニューがあるだけではわかりにくかったな。

僕の場合は、「内視鏡」に関する研究開発のCMをたまたま見てそれで、サイトにたどり着いたわけだが、CMでは「内視鏡」「しかも鼻から入れることができる内視鏡」について語られていたので、頭の中ではそういう言葉がとどまっていた。ただ、サイトのTOPにあったメニューでは「胃のなかへ。」。コピー的には洒落てるかもしれないけど、自分が興味をもったものについてパッと見で見つけられなかったというのは、「オーディエンスの“キモチ”“興味”に応じた導線設計」ができていない、ということなのかもしれない。

こういった複数のサイト内コンテンツ、複数のCMが流れるようないわゆる“クロスメディア”の施策にとって重要なことは、それぞれのメディアを単に“クロスさせる”だけでは不十分だし、それ自体は正直大したことではない。キャンペーン設計上もっとも重要なことは、オーディエンス、ユーザーの“キモチ”“興味”に応じた導線設計ができるかどうか、ということなのだ。

なので、このキャンペーンの場合、僕がもし関わっていたらこうしたかもしれない。

1) スポットCM/タイムCMにおける各オンエア広告素材の確認
2) その素材のオンエア時間に合わせて、トップページのメイン画像とボタンを素材を合わせる

多少手間だが、CMはオンエア前に何時にどの素材が流れるか、なんてのもわかるし、テレビとPCを同時に立ち上げてる“Wウィンドウ”状態のオーディエンスが多いとも言われているので、こうした施策は可能なはず。

また、このCMについては、最近にはめずらしく(?)検索ボックスで***と打ち込んで、というのは無かった。URLのみ。でも興味をもってちゃんとサイトにたどり着けたので、やっぱりCM自体が興味をひくことができれば、検索ボックスを入れることが必ずしも最適なソリューションなわけではない。

むしろ、「内視鏡」や「胃カメラ」あるいはそれらが必要な疾病関係の検索キーワードが購入されている気配がなく、この点において、せっかく同社の技術についてもっとも敏感に反応してくれそうな層をつかまえていない点において、検索連動型広告を使ったブランディング施策="search branding"を実現できていないのは非常にもったいない。

コンタクトポイント(タッチポイント)を、消費者のキモチを動かすTVCMで創出したり、あるいは、既に消費者のキモチがすでにある方向に向いているところでしっかりつかまえたり、そうしたことが大事なのであって、単なるメディアの組み合わせ=クロスメディアたるものは施策でもなんでもなく「流行」にすぎない。

大事なのは、消費者とのコミュニケーションなのだから、それを施策にすべきであって、クロスメディア=施策ではない、ということを理解さえしてもらえば、広告の世界もちょっとずつ、もっといい方向に変わるんではないか、と思うのだが。