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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

ネット広告業界は買い手側の力が強すぎることで、業界全体が伸びない、特に日本は。

今の日本のネット広告業界は、Buy側の意向に偏りすぎていて、買い叩かれるマーケットになっている。これをSell側のパワーを取り戻すことで適正価格で売買される状態にしなければならない。

「枠から人へ」という言葉は、広告を買う側の言葉となってしまっており、広告枠を買うのではなくオーディエンスを買おうという言葉と同義だ。それゆえ、リターゲティングやDMP、RTB,DSPなどによって媒体社側のRPMを下げるような広告しか回っておらず、かつそういう広告を使う広告主はネット広告を販売チャネルとしてしか考えていないところなので、広告を安く買うことしか考えていない。

しかし本来は「枠から人へ」というのは媒体側のビジネスで語られるべきものであって、”メディアエンゲージメント”と呼ばれるような、読者・視聴者のあるメディアへのエンゲージメントを換金化するためのものとして使われる言葉であるべきなのだ。そしてその換金化の仕方の妙で、買う側と売る側のバランスを上手く取り持つべきであるのに、今のネット広告は、例えば代理店も、媒体の価値を上げることを手伝うような姿勢すらなく、広告主に売れるものしか売らない。売れるようにする、ということなんて考えない。

それが結果として、1/6-1/10のCPMの市場を生み出す。

日本国内のネット広告業界は、一兆円を超えたということで、一見活況に見えるかもしれないが、実際のところは欧米と比べて極めて貧困なマーケットであることは間違いない。例えば2016年にはネイティブ広告だけで米国は一兆円になるかもって言ってるんだよ?

この状況を変えるなら今しかない。

と、facebookで書いていたら、米国でもこんなニュースが。

プログラマティック・アドバタイジングで米国のネット企業の決算が軒並みボロボロ

まぁこれは起こるべくして起きてるってことだよな。

結局はプログラマティック・アドバタイジングって、プログラマティック・バイイングと同義であって、プログラマティック・セリング、じゃないからね。

媒体側のRPMをあげるためには、プログラマティックに「売らない」ものがもっと必要かもしれん。

 

photo credit: Sales via photopin (license)