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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

広告の役割について考える。

いろいろなところで広告に対する意見を見ていると基本的には、広告というのは企業の製品を販売する上のでの追加コストであり、その”追加”コスト分の売上に見合わないといけないと思われている。もちろんこれも正しい。ただ、広告の使い方というものを考えてみると、「広告=売上をあげるもの」というのが全て”広告”の使い方ではないと思うのだ。企業の経済活動・マーケティング活動上の課題を並べてみてその中の一つの課題を解決し、それが結果として売上につながる、という点においては。例えてみれば、広告は野球やサッカーのチームで一ポジションを担い、勝利投手やMVPとして扱われることはあるにせよ、結局9人や11人で試合はしているわけで、広告というのはそのチームメンバーなのであって、すなわちチームそのものではない。

つまり、自分のポジションを果たすことで勝利につながる、ということを自覚しているかどうか(=チームに対する貢献)が重要なのであって、自分自身がチームに対する裁量をおこなう立場にはないと思うのだ。

このことを理解したうえでの広告活動なのか、どうか、その理解のうえでのアクションをすることが大事なんだと個人的には思う。

また、選手の年俸がチームに対する貢献度で計られるのと同様、チームの勝利回数(=売上)で即年棒が決まる、というものではないように、広告に対するコストというのは、「即売上」ではなく、「売上に対する貢献度」で計られるべきだと思う。

ただ、一方で、「売上」とは直結しない広告活動もあるということを理解する必要もある。

たとえば就活サイトがあったとして、そのサイトそのものが出す広告は確かにその広告によってどれだけの人数が登録してくれたか、が測りやすい。一方で、いくつかの同様のサイトがあった場合、就活学生はメジャーなほうを選ぶ可能性が高いが、この場合は単純なアクイジションコストでは測りがたいブランディング領域での広告活動とその効果を想定しなければならない。そしてまた視点を変えると、この就活サイトに広告を出す広告主の広告コストは、いわゆる「売上に対する広告投資」ではないし、予算組みも出所も違う。

Its's so complicated

つまり、(ネットが出てきてますます複雑になってきているのは)広告予算そのものが、広告宣伝予算から出ていなかったり(たとえば販促費とか人材開発系費用とか)、そのゴールが売上じゃなかったりする。

※また、住宅などのような一生に一回しか購入されない商品の場合、その製品に対する広告費の算出は概して難しい。

広告というのは、すなわち「売上をあげるもの」と考えてしまうと、「広告の使い方」を狭義に捉えられてしまう。それは使う側の発想力によって変わるもの。たとえばPRが、今は「売上をあげるためのPR」というのが趨勢になってきているように(ちょっと皮肉)。

マーケティングというのは企業の経済活動の一部であり、広告というのはマーケティング活動の一部であるのと同様に、売上をあげるための広告というのは広告の使い方の一部である。それは最たる使い方ではある一方、すなわち広告が行われる理由の全てではない。

また、現在、広告主が求めているのは、広告を無くすことでもなく、単に「効果が測れるだけの広告」でもなく、広告のもっと効果的で新しい使い方である。