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Officeのオンライン無料版の登場とMSの広告ビジネス

昨日の朝のMicrosoft(以下MSFT)のニュースは、「遂に!」という驚きと、そしてMSFTの本気度を感じた。

もちろん技術トレンド的にも以前よりはハードルが下がっているわけだが、Office Azure に関しては、IEのみならず、FirefoxやSafariにも最初から対応する、って堂々と発表したところがその本気度合いの表れだと思う。これまでのMSFTの姿勢として、FFやSafariに対応していたとしてもそれをはっきりということは避けてきたような印象がある。しかし今回は本当に「ネットでの闘い」に参加表明をした、ということになる。

また、Azureについては、Live アカウントと連動して無料で使えるようになるのは確実なので、アプリケーションの収益に代わる収入源が必要になるわけだが、やはりその最右翼にいるのは広告ビジネスだろう。

aQuantiveの買収以降、広告ビジネスへの戦略についてはあまり聞こえてこなかったわけだが、ここにきてMSFT内で、アプリケーションを無料で提供し、広告で収入をあげるというビジネス戦略がまとまったのではないか、と感じる。

以前、MSFTは独占禁止法に関して各国で紛争が起されていたわけだが、いまではGoogleがYahooとの広告連携に関し、色々とUS内で議論されるような時代になってきており、隔世の感があるが、相変わらず時代は動き、広告ビジネスはまだまだ進化していきそうだ。

これまでの多くの広告ビジネスモデルは、コンテンツをオーディエンスに提供することで、その合間に広告を挿入することで成立してきた。MSFTも、MSNで長きに渡って提供してきたモデルはこれの準ずる。しかしGoogleが世にもたらしたモデルはコンテンツではなく、アプリケーションやサービスの無料化に対して広告を提供するモデルになっており、従来のような、コンテンツ制作と広告配信が一緒になった“メディア型ビジネスモデル”ではなく、“ツール提供型ビジネスモデル”である。実はこのモデルのほうがMSFTにとっては得意分野なのではないか。つまりは、MSNのビジネススキームは(メディア型に近い)Yahoo!的なスタイルであり、常にfollowerになってしまったわけだが、今回とられるであろう方向は、本来得意だった分野であり、しかもブランド力で勝負ができる世界なので、相当のイニシアティブがあるだろう。

Microsoft、やはり侮りがたし、である。

そして、広告ビジネスは、ますます変化する。