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ITの“戦略的価値”は本当に失われたのか?

「CIOマガジン」という超コアな企業 Chief Information Officer 向け雑誌がある。

同誌が、最近注目されているニコラス・カーによる発言 "IT Doesn't Matter(ITはもはや重要ではない)"に対して同氏に直撃インタビューを行った。

■ITの“戦略的価値”は本当に失われたのか?
~ニコラス・カー氏が明かす『IT Doesn't Matter』の真実

ニコラス・カーの発言の主旨は、”ITが偏在化すると、ITそのものの価値はそれほど高いものではなくなる”・”ITでは企業は差別化できない”といったもので、僕自身もこの考えにまったく賛成。

一方で、この発言が多くのITベンダーの中で波紋を呼び、同氏は「敵」とみなされているようだ。

数年来、企業価値を高めるのはITであるといったコトバが行きかっているが、企業価値を高める一要素としてITがあるわけであって、ITの導入そのものが企業価値を高めるわけでない。
つまり、ITの導入は企業経営としてのスタンダードになるだけの話であって、これが差別化を行うわけではない、と僕も思うのだ。

もちろんCIOの立場からすれば、自分の立場を守るためにもその重要性を「さもITか死か」のように語るだろう。まさにこのCIOマガジンのインタビューでは、同誌編集長もカー氏の発言をやり込めるのに必死だ。

企業価値は、コンシューマは株主といったステークホルダーにとっての価値であり、ITだけがそれを担うことなんてありえない。ITがこれだけ偏在化している世の中で、それが当然とされる世の中においては、ステークホルダーにとっての価値は、ブランドやサービスなどといった点に移りつつある。つまり、ブランドやサービスを成立させる基盤(たとえは航空会社の座席予約システムやCRMなど)としてのITは非常に重要なのだが、これ自身が価値を生み出しているわけではない。むしろこれらのITにトラブルが起きた際の”リスク”に注目をしておいたほうがよいのではないだろうか?

ITが偏在化してきた環境では、ITの価値よりもITのリスクのほうが重要な考慮点だと思われる。

関連して見つけたサイトを以下に。

■IT戦略(ニコラス・カーの論文) @ 株式会社金融ビジネステクノロジー

■「ITはビジネスには不可欠だが、戦略には不可欠ではない」という主張に乾杯

■IT Doesn't Matter . . . . Or Does It? @ Sun.com サインマイクロシステムズのサイト