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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

De Marketing

De Marketing とはフィリップ・コトラーが1971年に提唱した、マーケティングの”逆”の概念。

目指すべき顧客以外には売らない戦略...これはブランドのプレステージをあげるひとつの戦術でもある。


イタリアのNo1 バッグメーカーに、mandarina duck という日本でもそこそこ人気のブランドがあって、数年前に価格調整を行って、従来商品が 1.3~2倍の値段になった時期がある。

この背景には、氾濫しすぎた自社商品のブランド価値をいかにして高めるか?という課題があり、その際にデ・マーケティングを行ったのだ。

(アメリカではブームが過ぎ去ったと言われてるが)ブランディングの視点には、「顧客といかにうまくつきあうか」と「顧客以外といかにうまく”つきあわないか”」という両側面がある。

従来の”拡大志向”のマーケティングではなく、Life Time Value や 顧客シェアを考えると、あるブランドが「いかに高い価値を保ち続けるか」というのは非常に重要な課題だと思う。しかしパレートの法則を真とするなら、20%の顧客で80%の利益を得るために、残り80%顧客といかにうまく”つきあわないか”という逆説もまた必要とされるマーケティングであろうと。

もちろんここでいう”つきあわないか”というのは逆説的な比喩で、残り80%の人々ともいかに”うまくつきあうか”という話でもあるが。

ストラテジーを「あるモノの見方に基づく筋道の構築と実施」とでも考えると、「モノの見方」に新しさが求められる...あるいは、変化しているのが今。だから、”ストラテジー”自体を一度壊す”デ・ストラテジー”が必要かも(デリダも読み直さないとけないかな、デ・コンストラクシオン)。

"The End of Advertising as We Know it"の著者セルジオ・ジーマンが、同書で言っているのも「広告が変わってきた」という警鐘なのであって、決して「広告」を否定していない。むしろぶった切ってるのは「モノの見方」を変えようとしない「広告人」たちなのであって。

そういう意味では「広告」のデ・マーケティングも必要なのかもしれない(苦笑)