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behavioral targeting の真打ち、日本上陸。

■米行動ターゲティング広告大手、日本に参入 (NIKKEI NET)

DACが日本での独占契約を獲得した Revenue Scienceが遂に日本で本格参入。

行動ターゲティング behavioral targeting は、インターネット上の行動履歴に基づいて広告を配信する、という仕組み。具体的にいうと、「ハワイ観光について書いてあるサイト」を見た後に、「ハワイ行き格安航空チケット」の広告が出る、という仕組み。

実はこうした考え方そのものは昔からあって、古くは engage なんかもそうだった。

あとこの数年増えていたCLARIA(元GATOR)やBestOffersNetworks(元SOHOdigital)、WhenUのような“AdWare”も behavioral targeting を提供する企業。“AdWare”系 behavioral targeting はユーザーのPCの中にフリーの広告配信(受信)ソフト(=AdWare)を、色々なシェアウエアを無料で使えるのと引き換えにインストールさせ、そのAdWareがユーザーの行動を把握し、適切な広告をPopUp/PopUnderその他の仕組みで、配信する、というものである。

一方、RevenueScienceやTACODAが提供するのはCookieベースで行動履歴を把握し、そのCookieを見ながらマッチングした広告を配信する、という仕組み。なので、「行動」と「広告」をマッチングさせるサーバー/サービスを提供する、と理解すればいいかと。

で、こうした中で、RevenueScienceがもっとも優れている。

RevenueScienceのマッチングは、Bahavioral Provider としてのサイトと、Publisher/Distributor としてのサイト(=広告が露出されるサイト)の間で行われる。例えば化粧品系のサイトを訪れた人が、次に新聞社系のサイトに行ったときに化粧品のバナーが出ているとする。この場合、化粧品系のサイトが Behavioral Provider で、新聞社系サイトがDistributorとなる。概念的には、Behavioral Provider が RevenueScienceのマッチングシステムにユーザーのbehaviorを提供し、それに基づいてpublisher/distributorのサイトでad serverとマッチングさせ「適切」な広告を配信する、ということである。で、publisher/distributorに入った収益 revenue を、どのぐらいの behavioral profile を提供したか(=どのぐらいのお客さんの行動履歴をシェアしたか)によって、シェアするという実に優れたビジネスモデルとなっている。

ネット広告にはある種のパラドクスがあって、内容がセグメントされているとか、(コンシューマにとって)いいコンテンツを持っているサイトというのはなかなか広告が入りにくい。一方で大手の新聞社のサイトなどであっても深いページなどの広告枠在庫がうまく売り切れないなんてことがあるし、また大きなサイトになればなるほど実はターゲティングしにくい。

このパラドクスをうまく解消し、

■ターゲティングに弱いメディアにはターゲティングの仕組みを
■セグメントされたメディアには「広告枠」の販売以外の収益ソースを
そして
■コンシューマには自らの興味関心に合わせた適切な広告を

提供する、という win-win-win なモデルが RevenueScience の優位性。
まさに、「収益を科学」している

この behavioral targeting が導入されることで、購買行動の直前期に強い Search Engine Marketing に比べ、どちらかといえばより漠然とした興味をもっている、しかしそこに行動がある、という新たなターゲティング/マーケティングの視野が広がることだろう。

参考1:RevenueScienceのCEO、Bill Grossmanによる「Online Advertising 3.0」

参考2:eMarketerによるBehavioral Targetingのwhite paper "What comes before search ?"(pdf)