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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

新しい広告メディアになれるか?=Amazon Kindle 上の広告ビジネスはどんなものか?などについて少々。

ブログというのは書きたいネタがないとストップしてしまって、それで更新が止まったりするのですが、ここしばらくはイケダハヤトくんが、僕の興味の範囲である、広告、マーケティング、事業開発などのネタについて、インスピレーションを与えてくれるネタを書いてくれるので、非常に助かっております。

さて、本日アップされた、

AmazonがKindle Fireの起動画面を広告枠として売出中—電子書籍は無料になりうるか? | ihayato.news.

という記事についてですが、確かにAmazonは広告プラットフォームとしての進化の真っ最中で、通称”KSO”と呼ばれる Kindle Special Offersというものが、メニュー画面におけるバナー広告的なものとともに注目されております。

これは、What is Kindle Special Offersで簡潔に説明されているので引用をしておくと、

When you read you Ebook: No ads 本を読んでる時には広告は出ない When You read your Magazines or PDFs: No Ads 雑誌やPDFを読んでる時にも広告は出ない When You listen to MP3's: No ads MP3を聞いてる時にも広告は出ない(※KindleにはMP3プレイヤー機能がある When you Surf the Web: No ads Webサーフィンしているときにも広告は出ない(※Kindleは専用ブラウザを持っている When you Play Kindle Games: No ads Kindleでゲームをやってるときにも広告は出ない The only ads and special offers are in the ebook menu 広告とSOが出るのはメニュー画面だけ

というものです。

メニューに出てくるのがバナー広告みたいなもので、KOSはスクリーンセーバー的なもので、Kindleを利用していないときに出てきます。

Amazonらしいのがユーザー(読者・購買者)中心であること。

Amazonにとってもっとも重要なのは「読書体験」を豊かにすることであり、それを邪魔するような広告露出をしないようになっています。

実際の画面がこちら、

この「広告付きKindle」はすでに旧バージョン、現行バージョンでは、30ドルぐらい安い金額で売られています。Fireだけがまだ。 ※日本はターゲットされていないので、日本で購入できるのは広告なしモデルのみ。

これら含めたAmazonの広告戦略については、4月の ad:tech SF 2012 にてナマで聞いてきたのですが、その Keynote Speech がYouTubeに上がっているのでこちらもご紹介しておきます。

Lisa UtzschneiderによるAmazonの広告ビジネスの説明は34分あたりから(でも全体を見るとAmazonがどういう企業なのかわかるので、ぜひ全体を御覧ください。すごく面白いですよ)。内容については濃いので書くのは面倒なので、見てください。間違いなく今回のad:tech SFの中で一番のKeynoteでした。

いろいろAmazon関係のUSでのニュースを色々聞いてるとですが、どうも書籍自体がフリーになるとか、安くなるとかって方向ではないようですね。むしろ書籍含めたコンテンツを(一部)定額にするという方向はあるようですが、広告は Kindle本体を安価にするために使われるようです。

現時点では、書籍や雑誌自体と広告を連動させるという話も聞こえてこないですし。もしそれをやったら上記したような「読書体験」と「広告」とのせめぎあいになるでしょうが、販売手数料収入etcがあるKindleが広告収入比率をユーザー体験を削いでまでやるとは思えません。上記の映像内を見ると、ジェフ・ベゾスももちろんそうですがAmazonの社員全員が「読書体験」を重視していることが感じられますので。

ところでこの Amazon の広告ビジネスですが、日本にてKindle販売がスタートした場合、どうも早いタイミングで始まる気配があるんですよね。

複数のソースから、Amazonが一部の代理店詣でをしているということも聞こえてきますし、プラットフォームがすでにあるので日本でやらない理由もないし。また、早く普及させるには安価であることは強い武器になりますから。

さて、どうなることやら。

ところで、イケダハヤトくんのブログとその引用の元記事である、 Amazon To Begin Selling Ad Space On Kindle Fire’s Welcome Screen For $600,000にある、

ですが、これ、全然違う文脈のものなんですね、実は。

これは Kindle のTVCMの一シーンなのですが、元ネタはこちらです。

「うわー、うまいなー」と思ったCMなので覚えていたのですが、

・男性が、New Kindleを手にした女性のもとに近づいてくる。 ・男性「あ、それ新しいKindleだよね、79ドルの」 ・女性「読むのに最高よ、太陽の下でもね」 ・男性「まぁでも映画とかWebサーフィンもしたいんだよね」 ・女性「ああアタシはそのために Kindle Fire 買ったのよ」 ・男性「3つも Kindle を?」 ・子供たちが Kindle Fire でゲームをしてたり、映画を見てるシーン ・男性「高いでしょう(3つも持って)」 ・女性「ああ、でもね、3つ買ってもそれ(=男性持ってるiPad)よりもまだ安いのよ」 ・男性、苦い顔しながら、「ここに誰か座ってる?」 ・女性「旦那がね」 

という非常にうまく商品特性と価格を訴求したストーリーになってます。

Three Kindles are still less than that...とはうまいですね、ほんと。

というわけで、以上。

ぜひ、Lisa Utzschneiderのスピーチはご覧になってください。長いですけれども。

さて、いずれにせよ、ikedahayato.news がニュースメディアを名乗るなら、海外記事を引用するだけでなく、色々調べて書いてくれるともっと読者に有益で人気が出て、彼が目指すアフィリエイト収入にも貢献すると思うんですけどね。