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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

え?広告業界のほうがコンサル業界よりも一人当たりのチャージ金額が高いのか。しかし、、、

英国の話だと思うのですが、広告業界のほうがコンサル業界よりも一人当たりのチャージ金額が高いのだ、と聞かされたら「え?」って思いませんか? 僕は思いました。コンサルタントのほうが単価高いんじゃないの?って思っていたので。

Creative is as creative does: What agencies can learn from management consultants (DIGIDAY)

という、HAVAS Work Clubというの社長の文章によると、

Accenture’s 336,000 employees generate $31.8 billion in revenue, while WPP’s 179,000 employees generate $18.1 billion. The “ad guys” are generating $101,000 of revenue each versus the consultants generating a meager $95,000 per employee. Advertising firms are better at charging for their people than Consultancies. Who knew? アクセンチュアは33万6000人の従業員で318億円ドルを稼いでいて、一方WPPグループは17万9000人の従業員で181億ドルを稼いでる。「広告マン」は一人当たり年間10万1千ドルを生み出し、コンサルタントはそれより少なく一人当たり9万5000ドルだ。広告会社はコンサルティングファームよりも、一人当たりのチャージ金額が高いということになる、誰が知ってた?

ということらしい。

HAVAS Work Clubは、フランス系で世界第6位のエージェンシー HAVAS がグローバル化戦略の一環として昨年買収した英国のデジタルエージェンシー。

Havas Buys London Digital Hotshop Work Club (AdAge)

デジタル分野はもっとコンサル業界と広告業界がぶつかりあう可能性が高いので、危機感もありながらの文章なのではないかと思う。

例えば上記の挙げられたアクセンチュアなどは、デジタルビジネス領域に積極的なコンサルティングファームの一つだ。Work ClubがHAVASに買収されたのが2014年。その1年前、2013年にアクセンチュアは「アクセンチュアデジタル」を立ち上げている。

Accenture launches digital marketing capabilities. Should agencies worry? (MARKETING)

上記記事の中で、アクセンチュア側の人物が「広告代理店が食べているランチを食べやすくなった」(=広告ビジネスに参入しやすくなった)というニュアンスの言葉を発しているが、デジタルの領域におけるマーケティングは、「クリエイティブサービス」よりも、「インサイト」、「分析」によるプロフェッチョナルサービスが求められる可能性が高い。そういった意味では広告業界にとっての脅威は、単に「広告」における競争が起こっているということではなく、バトルフィールドの形態そのものが変わっていることにある。

Are agencies irreplaceable? (MARKETING) Competitor alert: Agencies, are you ready? (MARKETING)

また2012年まで遡ると、デロイトのデロイトデジタルが Übermind というモバイルエージェンシーを買収していたこともあり、コンサルティングファーム側の侵攻はこの数年のトレンドとなっている。

Deloitte acquires Übermind, establishes lead in mobile

大昔(といっても10年、20年前)には、電通や博報堂にもボストンコンサルティングやマッキンゼーなどから、共同で会社を作るという話があるやなしやという話が聞かれたし、また商社などは独自でデジタルエージェンシーを作ろうとしていた動きもあった(某 I系のはその流れ)。しかし、どう考えてもそれら、「広告業界外部」の動きに対して、広告業界の動きは相変わらず遅く見えてしまってしょうがない。

先の HAVAS Work Club のCEOの記事の中には、

The CMOs are buying technology, and the CTOs are implementing marketing.

という言葉が残されているが、まさにこのようなクロスオーバーな時代において、専門プロフェッショナルファームでしかない広告会社が現状のまま生き残れるのか、というのは大きな課題である。

また、上記記事の中にIBMのe-Learnigのくだりがあるが、それが結果として社員の知識・知恵と最新情報に触れるということを促進していて、広告業界からは脅威であるかのように書かれているのは興味深い。

さて、日本国内を見渡してみると、ブログ禁止、ソーシャルメディア禁止、アクセス禁止のサイト多数、といった広告代理店が上位ほどある。これは非常に情けない、残念な状況であるのは間違いない。そこに一般人としての、そしてプロフェッショナルとしてのデジタルツールの理由が許されないのであれば、そうこうしているうちにコンサルティングファームにデジタル分野でやられてしまうことがあっても、もうしょうがないだろう。

まぁとりあえず、デジタルがわかる広告業界人の転職先にコンサルティングファームが今後増える感じはしますね。

 

※最初のDIGIDAYの記事は、DIGIDAY日本語版でも紹介されています。 デジタル時代におけるエージェンシーの苦悩。コンサル企業の参入へいかに立ち向かうべきか?(DIGIDAY日本語版)

 

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