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mediologic

メディアと広告とマーケティングと。

44%のフェイスブックユーザーは広告をクリック”したことが”ない、らしい?〜そしてGoogleの広告考を含めた考察。

調査 ソーシャルメディアとマーケティング デジタルなマーケティング 手法/考え方 超まじめ

イケダハヤトくんの、

[ 調査 ] 44%のフェイスブックユーザーは広告をクリックしない | ihayato.news.

という記事について、元記事などを読むとちょっと?だったので、こちらにメモ。

まずはこちらの元記事より。

Study: 44 Percent ‘Never’ Click On Facebook Ads, Sponsored Stories

Generel Motorsが降りるというニュースで話題になったFacebook広告について、”イギリス”のデジタルマーケティング企業が作ったというレポートを、レポートしているのがこちらの記事。

ではそのデジタルマーケティング企業、Greenlightのレポートはというとこちらになります。

Search & Social Media Survey 2011/2012 (pdf)

このサーベイは全世界の500人(これ、結構少ない。グローバルだと)に対して行ったものということで(↑のpdfのp5参照のこと)、

Asia 3% Europe 70% North America 25% Rest of the World 2%

ということで、欧州地域のポーションの多さが目立ちます。

また、20を越える「職種」の項目があるにもかかわらず、

Student 27%

というのも、この手の調査資料としては?ではあります。

まあ一旦このあたりは、慣らしても一緒だという前提で以下続けると、

p6にある、

30%がFbをモバイルかタブレットで使ってる

という状況を鑑みると、まぁFb広告をクリックする人が全体の中で少ないというのはわかるな、そもそもそれらのデバイスに広告出てないだろうケースも考えられるしということが推測されます。

ただちょっと驚いたのが、上記を見ると"I don't use Facebook"という項目があり、Facebook内の広告の話なのに、500人全員に聞いてるということになるわけで、65/500人を除いたパイチャートじゃないとこれは正しくないようにも思えます(この時点でサーベイの信頼度が下がる)。まぁそれもすっ飛ばして、クリックをよくする、たまにする人の合計を見ると13%。ほとんどしないという人が31%、ということらしく、Never、つまり「クリックしない人」ではなく、「クリックしたことがない人」はというと44%なわけです。

まあでも、前述したように、30%がモバイルかタブレットからの利用だとすると、「クリックしたことがない」のが44%というのはさもありなん、ですし、まあそもそも現状のFb広告じゃあ PC webからのほうもなかなかクリックはされないかな。

ところで、イケダハヤトくんの記事中に、

フェイスブックは「コミュニケーション」のために訪れるサイトであり、何かを売ろうとする「広告」はスルーされやすいからです。 公園で彼女とデートしているときに、広告メッセージを見せられるようなものです。まぁほとんどの場合、広告は目に入らないでしょう。

とありますが、広告がスルーされてしまうのは「何かを売ろうとするから」ではありませんし、それがコミュニケーションの場だからといって効果がでないというわけではないでしょう。まぁ恐らくここでいう「コミュニケーション」というのは、ダイアログやミングリングやソーシャライゼーションと言い換えてもいいのでしょうが、Fbを訪れる人はGreenlightのレポートにもあるように、また他でも言われるように、”use Facebook for social engagement, sharing photos, and catching up with friends and family." (from Greenlight's survey) なのであって、たとえばウォールを眺めてアップデートを確認するだけということもあるってことです。

とりわけ、Facebookは自分がポストするだけでなく、"catching up with friends and family"な部分が多いんじゃないかと思うんですよね。つまり、「友人や近親者の情報を中心とした超ローカルニュースアグリゲーター」的な使い方が多いのではないかと。なので、そこで飛び交う”ニュース”の中で気になったものと関係するような広告が出てこないから、「情報として興味を持ってもらえない広告」が出ているからスルーされるわけであって、「コミュニケーションの場だから広告がスルーされる」というのは対して相関関係のないことをいかにも相関があるように語られるだけのような気がするわけです。

私がGoogleの広告をやっていたときに、最も「これはイノベーションだ」と思ったのは、「Googleは広告を”情報”として扱っている」ということに尽きます。

概して「広告」というのは「邪魔なもの」と扱われます。

※そういやイケダハヤトくんの主張にも(自分がそれで生計を立てようとしてるにも関わらず)、「広告」に対しての悪いイメージが見え隠れすることが多々ありますね。

しかしながら、Googleのミッションである「世界中の情報を整理する」という名のもとに生み出された AdWords/AdSenseが目指した広告の世界は、「適切なタイミングとユーザーの興味に応じた広告を出す」ことによって「広告」を「情報として有益なもの」にすることになったわけです。

つまり、「広告」そのもののが「悪」なのではない。

それぞれの人にとって、適切なタイミングで興味にあった「広告」を「出せないこと」が良くない、ということです。

ここ、本当に本質的な部分だと思います。

言い換えれば、誰かにとって良くない「広告」が、誰かにとって役に立つ「広告」だったりするってことですよ。

なので、現在のFbの広告について言えば、ソーシャルグラフがあるにもかかわらず、それらは「拡散」のためにしか使われないのであり、ターゲティングはデモグラフィックなことくらいしかできないわけで、それは結局のところ、レガシーな「メール広告」、オプトインメールやターゲティングメールと呼ばれるものを全然超えていないわけです。

なので、再びですが「コミュニケーションの場だから広告がスルーされる」なんて考え方は全然本質的ではありません。

そうではなく、Fb広告は、その広告の仕組みそのものが今のネット広告の潮流からすると非常に時代遅れで、ユーザーの興味関心とタイミングにマッチしてないからスルーされる、わけですよ。ここ非常に重要です。

イケダハヤトくんのこの記事の中には、

Googleの場合は、能動的に情報を探しにいっている状態、言ってみればスーパーで買い物をしているような状態です。スーパーに「今なら半額!」という広告があれば、思わず手に取ってしまうでしょう。こうしたマインドの差が、ざっくり10倍という数字に表れています。

とありますが、確かに「能動的に情報を探しにいってる状態」というのは正しい理解だと思います。しかしながらそれは「スーパーで買物をしているような状態」ではありません。恐らく、「能動的に情報を探しにいってる状態」=「何かモノを買おうとしている状態」という理解をしていると思いますが、この両者は”イコール”で括られるようなものではありません。前者のほうが非常に大きい。これがイコールで括られるという仮説が成り立つのであれば、Googleを使う人はすなわち買い物モードの人のみ、となってしまいます。そういう人はおそらく「価格.com」に行くでしょうね。

また、「今なら半額!」という広告があれば〜、という部分ですが、これも「オファー」に対する誤った理解を導きかねません。

私がGoogle在籍中にセミナーなどで使った資料の中で、ユーザー(潜在顧客)に訴えかけるもっとも良いケースとして提示していたもののひとつ、「工業用ねじ」に関する話をここでしておきましょう。

当時、「工業用ねじ」というキーワードを検索すると、複数のAdWords広告が掲載されているのが確認されました。

非常に興味深かったのが、それぞれの広告の訴求メッセージを分類すると大きく2つになったこと。

片方は、「送料無料」や「安い」などの”安価”を「オファー」にしており、 もう片方は、「今すぐ」や「24時間以内発想」などの”早さ”を「オファー」にしていた。

時期によってこれらの広告のランキングが入れ替わっていたわけですが、当時は概して後者が上に来ていた。わざわざ検索して「工業用ねじ」を調べる人には”できるだけ早く欲しい”というニーズがあったのかもしれません。

つまり、広告は「安さ」を提示するからといって効く広告になるわけでもなく、やはり「良い広告」というのはユーザーの意図興味関心にあった「オファー」を出している、ということになるわけです。

そして、最初に戻りますが、現在のFb広告については「44%がクリックしない」と訳すのではなく、「44%がクリックしたことがない」と訳したほうが妥当でしょう。そしてそれがなぜ起こっているのか?それをここまでの文章で考えていただければよいかと思います。

ところで、イケダハヤトくんは、

The Google AdSense Killer And 3 Other Ways Facebook Could Make A Lot More Money

というTechCrunchの記事も引用しており、元記事そのままに"AdSense Killer"という言葉のみとりあげてますが、最も重要なのは噂されているその「仕組み」を理解することにあるでしょう。

この"AdSense Killer"は、

FacebookユーザーがFacebookにログインしていない時のネット行動をもトラッキングし、 Facebookへのログイン後、Facebook内でのソーシャルグラフ、プロフィールと、他サイトでの行動をミックスして最適な広告を出す仕組み。

ではないか?と言われてます。

いわば、behavioral targeting meets Facebook って感じのものです。

ただ、実際のところ、GoogleのAdSense for Content、つまりコンテンツ向けAdSenseは、サイト内の記事内容を分析し、それに応じた広告をAdWordsで申し込まれた広告群から出すという仕組みなのであって、behavior を使った部分は、remarketing の部分ぐらいです(※あとは今後は attribution 関係か)。

なので、AdSense Killer と紹介されているものの、実際は全然仕組みが違うし、そもそもプライバシー的にどうよ、という大問題があるので、結構ダウトなんですよね、自分的には。

と、長くなりましたが、この記事で言いたいことは「元記事をちゃんと読もう」、「調査データをちゃんと読もう」、「類似と差異をちゃんと理解して本質をつかもう」、「英語をがんばろう」、ということでした。