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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

10年後、広告会社の80%が消滅する

恐らく、今年最後の紹介本となる本は、第一章第一項のタイトルが「10年後、広告会社の80%が消滅する」という刺激的な内容ではじまる本、『2010年の広告会社』である。

2010年の広告会社―革新のみが成功を約束する2010年の広告会社―革新のみが成功を約束する植田 正也 テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0 ひとつ上のチーム。 ワンダーマンの「売る広告」 マーケティング2.0 by G-Tools________※ついでに関連本も紹介


著者の植田正也さんは、『電通「鬼十則」』や『2005年の広告会社』を書かれた方。

書籍の中身は、、、「ウェブ広告の表現はテレビを越える」とか「コミュニケーション2.0」という言葉がでてて、正直「う~ん、WEBについてはこういう認識か~」とか、「広告賞をとることは広告会社のPRになる」とか「ユビキタス社会が広告と広告会社を変えた」とか???、新しいメディアや新しい広告ビジネスについてはちょっと???な部分もあります。

しかし、一方で「コンサルティング・ビジネスの台頭」、「公取委は広告業界をどう考えるのか」、「人材の80%を入れ替える決断が即必要だ」、「いま残されてるのは社長の決断だけだ」、「イノベーションを阻害する要因を突破する」といった、示唆的な項もあったりします。


新しい年に向けて、新しい広告の世界を考えるのにいい本かもしれません。

(追記)
※読み進めると、結構電通ベタ褒めで、中堅規模の広告会社とかの評価も???なものも。。。
※「広告代理店から広告会社へ」という変革を促しているのだけれども、メディアビジネスとしての広告ビジネスの視点があまりにも薄い。「もうメディアでコミッションを得るビジネスではなく、クリエイティブでフィーをとるビジネスに変換せねば」という主旨で書いているのはわかるんだけれども、じゃあメディアビジネスの部分の広告ビジネスはどうすればいいのよ、という視点が薄い。
※ウェブに関しての対応を!という記述も多いが、ウェブのビジネスがどのぐらいの収益をもたらすものか、のイメージがなさそう。。。
※既存広告会社中、80%は淘汰される、と、具体的な会社数なども含めて書かれているがその根拠が薄い。とくにファイナンス的な側面がゼロ。電通といえども、巨体な分、それだけ使うコストも大きいので、会社の規模だけではファイナンスは語れないのに。
※Googleへの記述は「『ウェブ進化論』によると~」的なくだりのみ。。。
※ワイデン+ケネディを、ある種理想的なクリエイティブ・エージェンシーと記述しているが、USのそのほかのエージェンシー、マッキニー&シルバー、Tribal DDBなどの動きについて記述がないのが残念。

といった面を差っぴいても、変革のついての指針をある種まとめた本として、とりあえず読むべし(オススメかどうかは読んだ貴方の判断で)。

中表紙には、


 広告革新の使命感に燃え
 熱き志を以って広告を
 変えることに
 挑み続ける広告マンに
 この著書を捧げる


という記述もあり、植田さんなりの檄ですので、例え上記のような事実認識の相違があったととしても、広告業界に対する愛情をもち、しかも(変わらなくてもいい部分はちゃんと残しつつ)変えるべき部分を変える、という志は同じですし、業界を憂う大先輩の著なので、ぜひ手にとっていただきたい。

で、ここに読後コメント書いてもらえると、皆さんの広告業界将来感をここに残すことができるし、考えることもできるので、ぜひ。