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流れにあったCM

平成仮面ライダーシリーズの最高傑作になるのでは?と、ファンの間では名高い(実際面白い。タカヒロはハマってます。DVDレンタルしてみてください。ほんと面白い)、『仮面ライダーカブト』で面白いCMが流れている。

本編前半直後に流れるCMがそれ。主人公役の水嶋ヒロのトレーニングシーンが突如はじまり、その際にオロナミンCを飲みだす。次にライダーのイメージとのオーバーラップが始まり、これがオロナミンCと仮面ライダーカブトとのコラボCMだとわかるのだ。しかもどうも局(テレビ局)制作っぽい。

最近、TVCMが見られなくなった、とか、TVCMの効果が感じられなくなった、という話が色々なところで語られるが、いや、ちょっと待て、TVCMはそもそも「見られていた」のか? いや、この30-40年かけて、CMの時間は「トイレタイム」として確立されてきたではないか。

となると、TVCMが見られないのは最近のことではない。つまり、「CMがつまらなくなったから」などという話をするような輩は脳みそこじ開けて洗ったほうがいい!と断言したい。TVCMという「制作物」の問題以上に、TVCMという「枠」のことをもっと考えるべきなのだ。

上記した、仮面ライダーカブトとオロナミンCのコラボの場合、本編を見ている“流れ”にあって、CM(的なもの)が流れる。これだったら、視聴者のキモチを阻害することなく、商品を伝えることができるだろう。あ、そうだ。そもそも『てなもんや三度笠』の中の“あたり前田のクラッカー”も結局は同じだ。

結局は、TVCMという“枠”そのもののプレイスメントとそれが流れる番組との“文脈 context”を重視しなければならい、ということ。これは新しいことなのではなく、むしろテレビ黎明期の広告に戻って考えるということだろう。

番組内に商品を配置する“プロダクトプレイスメント”や商品にあったエンタテイメント作品をつくる“ブランデッドエンタテインメント”など、「本編そのものをいじる」という発想もあるが、“流れる場所”からのTVCM利用発想がこれからTVCMが生き残るための道として一つあげておきたい。

つまり、contextual TVCM というもの、が近い将来、でてくることだろう。

※とはいっても相当難しいけどね。スポットでなくタイムでならいけるかな。

※あと『マイノリティリポート』のようなパーソナライズド広告の洪水は(僕は)決してやってこないとおもっている。個人をそこまで特定するようなものは倫理的にもシステム的にも不都合だ。むしろ、コンテクスチュアルな広告のほうが数を多くとれるので、こっちのほうが発展していくはずだ。