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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

日本でもはじまる、広告マーケットプレイスの動き。と、思うこと。

■手数料を割安にした「広告の電子商取引サイト」が登場

世界的に見ると広告マーケットプレイスの動きは何年も前からはじまっており、AdBrite や Right Media などなど。日本における広告マーケットプレイスでは、トラディショナルな広告媒体では、電通が運営する「AD GOGO」、オンライン広告では、「Pitta」 や「スペースハンター」、「オンライン広告.com」などがあるが、“ネット専業代理店”であるセプテーニが、トラディショナルな広告メディアも含めた広告マーケットプレイスをスタートさせるという。

※どれも儲かってない感じがするのは「手数料ビジネス」だから。この結果薄利多売傾向になってくわけなんだけれど、それがもたらす話すを以下に。

しかしながらそのウリが、「手数料を割安にできる」という点というのはなんだかな~。

まぁ知られたことではあるが、ネット専業代理店間は自らの価値を上げることが概してできていないための「値下げ合戦」に突入しているわけだが、それと同じ物言いで、広告マーケットプレイスについて「手数料を割安にできる」ってのは、結局のところ、広告ビジネスを流通ビジネス化しているだけで、付加価値をつけるアイデアがそこにない、ということを指しているのではないか、と思ったりする。

「安いから、使う」じゃなくって、「効果があるから、使う」「価値があるから、使う」って方向のマーケットプレイスができなかったら、面白くないな。全くもって。

もちろんそのためには媒体社側も頑張らないといけないわけだけど。

また、結局のところ、こういうものって他社も追随して作り出すようになるだろうけど、一方で媒体側も一社エクスクルーシブなんてバカなことはやらないだろうから、どこも同じ媒体を抱えることになってしまい、差別化が手数料の安さだけ、なんていう悪いループに入ったりしてね。

ところで、広告代理店がこういうものを作り出すと、メディアレップの役割ってどうなるんだろうね。メディアレップサービスのオープン化が広告マーケットプレイスみたいなもんだから(注・広告代理店のメディアサービスのオープン化が広告マーケットプレイスではない。この点については要注意)、DACとかcciとかの存在意義・立ち位置も微妙になってくる。メディアレップの生き方としては、親会社である広告代理店のアウトソーサーという位置づけだけでなく、メディアの卸業としてのビジネス展開・拡張をまた考えなくちゃいけない時期に入ったね、確実に。枠の管理なんてのも自動化できる部分も増えるだろうから、これまでのように(媒体社に)アドサーバーを導入させてイ inventory management をする、ということではなく、むしろ無尽蔵に増える広告枠に対して Yield management を行う、という役割が求められるんじゃないかな。これについては、広告マーケットプレイス側では簡単にできないから。

媒体社にとって大事なのは、「商品の流通」だけではなく、「商品の価値を維持する産出量調整」になってくるでしょうよ。