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mediologic

メディアと広告とマーケティングと。

既存のテレビはGrowth Hackできないが、NetflixはGrowth Hackができる。そこに注目したい。

画像 テレビ/ラジオ 事業開発・ビジネスデヴェロップメント 動画マーケティング / Video Marketing

※以下の図は、NSCREENMEDIAの記事より。

netflix_us_streaming_subscribers

業界内では、Netflixがやってくるということで、Huluが日本上陸してきたときよりも話題です。多分。

動画配信の黒船、米Netflixが日本上陸 低料金で、映画やテレビ番組見放題

議論の多くは、「Netflixはテレビ局にとって脅威か?」という話で、「そもそも現在のテレビの視聴者はシニアか女性か子供かなので、Netflixが入ってきても属性が違うからうまくいかない」とか、「そもそもテレビをネットに繋いでる人なんていないし」だとか、「そもそもコンテンツ集めることできんの?」とかだったり。

ネットにテレビを繋ぐなんてのはプロモーションやインセンティブでどうにかなりそうだし、ターゲット層の違いも実は単純化するのは怪しいかと。

で、高広はどう思うのさ?って聞かれたら、「急激ではないが、ジワジワ来る」って答えます。

※あと、実際のところは、テレビ vs. Netflixではなく、ネット動画サービス(hulu,GyaOなど) vs.Netflix だったり、レンタルDVD vs. Netflix だと思うので、テレビ文脈で語るのは正しくないかもしれない。

で、NetflixのUSでの契約者の伸びを見ても、レンタルDVDからストリーミングに移行したからといって爆発的に人数増やしてないんですよね。多少のプラスはあるにしても前年比何十%、何百%の伸びではない。

※ご興味ある方は、Googleで"Netflix subscriber growth"でイメージ検索をしてみてください。いろいろチャートが出てきます。

で、この伸び方はよく見る伸び方だなと思ったら、囲い込み型というか、データベースマーケティング型というか、メールマーケティング型というか、ネットビジネスならよくある既存顧客の離脱率を防ぎながら新規顧客をとっていくタイプの、非常に手堅いネット的な伸び方な印象を受けています。

簡単に言うと、既存顧客の離脱率よりも、新規顧客の加入率が増えればビジネスは伸びるわけで、既存顧客の数がベースとなり、それに新規顧客の数を時間を追うごとに積み重ねていく、、、という感じです。

メールマーケティングや囲い込み型のマーケティングをやってきた方であればこの辺りはピンと来るでしょうし、あるいはここしばらく流行りのグロースハック的なやり方といってもいいかもしれません。

メールマーケティングや囲い込み型のマーケティングでは、顧客の反応を見ながら(理想的には)リアルタイムに近いカタチでメッセージを変えたりしますし、一方でGrowth Hack的なアプローチでは常に改善、改善、改善を行います。こうしたPDCAを回すことは至極ネット業界では常識的なレベルとなってきましたが、従来のマスメディア(自身のマーケティング)では“既存顧客の離脱を防ぐ”というところは結構難しかったと思うのですよ。

で、Netflix。

How Netflix Uses Analytics To Select Movies, Create Content, & Make Multimillion Dollar Decisions.

この記事にもあるように、(Huluと比べれば)ユーザーの視聴履歴やビッグデータを駆使して、どのような番組をお薦めするかということを実現しているようです。

リテンション(顧客維持)やグロースハック的な改善というのは、トラディショナルなテレビがもっとも苦手とするところであり、Netflixはそれらを駆使することができるポジションにいる限り、既存のテレビよりもよりそれぞれの人・世帯にあった映像コンテンツを送り込んでくれるサービスになるわけで、このあたりが注目すべきポイントなのではないかと。

黒船Netflixと既存テレビ局の戦い、と単純に片付けてしまうと、単なる画面の取り合い論争=宗教戦争になってしまいますが、きっとNetflix側としてはそんな論争よりも、自分たちの加入者が何を好むかということに常に注目し、重視しているのではないか、と思います。

という訳でどんな議論が沸き起こってるかというのは他の方々の記事に任せるとして、僕が既存テレビとの“画面”争奪論争と違う観点で目を向けておきたいポイントは、

・Netflixはリテンションのマーケティングができる ・Netflixはグロースハックができる

の二点で、パーソナライゼーションによる Stickinessの向上や、メールその他の手段によるレコメンデーションによるRe-Activationができたり、またそれらをデータから改善できるという点において、Netflixは優位で失敗する気が全然しません。

その成功はネット業界でたまに期待されるような急激なスケールではないかもしれませんが、じっくりジワジワと伸ばしていくでしょう。

ところで、Netflix上でジャパネットたかたあたりが番組持つと、そのパーソナライズ機能を用いて面白いことできそうな気がするなあ、と。ふとそんな妄想もしましたが、ドラマだけでなくそれ以外のところにも応用できそうなところが、このプラットフォームの気になるところですね。

photo credit: to the sky via photopin (license)