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メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

広告枠は、その価値付けによって商品体系が決まる。

■USENが動画配信サービス「GyaO」をリニューアル,広告メニューを強化

GyaO の広告メニュー改正に見る、広告枠の商品化の基本的考え方。

動画CMではGyaOの特徴である「属性別配信」を強化・充実し,地域別や性別といった属性に加えて,これまでよりも細かい5歳きざみの年齢別に広告配信を可能にした。また,バナー広告メニューをより大きくし,広告効果を高めた。また,CMの配信回数を保証する「リーチ保証」や,番組の始めに必ずCMを配信する「初回CMポジション固定」など,新しい概念の広告メニューも開始する。

広告枠、というものは二種類に分けられると思っている。

1)プレミアムな広告枠
2)広告効果(あくまでも“広告”効果)の高い広告枠

1)は“希少性”に基づいて価値が決定付けられるもので、たとえば、GyaOにおいては複数における動画広告が存在する際に一番最初に広告を流せる権利がそれにあたるし、YouTubeでいえば、トップページの動画広告枠は1日売りされているので年間365回分しかないし、特定日と考えればより希少性は高まる。これらの広告枠の場合、ターゲティング以上に、ブロードリーチで、かつ枠の数が有限なものがほとんどとなる。

2)一方、トップ以外のページはこちらのほうとなる。こちらについては、広告主にとって妥当であると考えられる「ターゲティングができるか否か」によって、その売れ行きが変わる商品である。たとえばあるカテゴリーに特化したサイト内コンテンツの周囲は、ある広告主にとってはターゲットが集まる広告枠として考えられるだろうし、ないしは、広告技術によって(たとえば行動ターゲティングやデモグラフィックターゲティングなど)ターゲティング可能にするもの、である。また無限に増え続けるインターネット広告枠にとって、枠の価値付けをするためにはますます重要となってきている。

まとめれば、1)とは、商品としての希少性が高く、かつそれよりも需要が上回ることが想定される広告枠、2)は、枠、というよりも「誰に?」が重視される広告枠、ということとなるだろう。

加えて、1)の場合と2)の場合では、広告主の層も違ってくる。
1)はいわゆる“ブランド認知”を高めたい広告主にとって有益な広告枠となるだろうが、より商品購入や資料請求をオンライン上で高めたいという広告主にとっては後者のほうが有益だと考えられるのが一般的。

当然上記した分類をクロスオーバーすることもありえるが、そこがこのエントリーで伝えたいことのポイントではなく、広告といえども商品構成を多様化し、それぞれ違ったカテゴリーの広告主の広告予算を獲得するような商品体系にしないと、ビジネスサイズとして大きくならないのだ、ということ。それゆえ、このような「広告商品体系」をどのように戦略的に練るのか、というのは広告収入に依存するビジネスとって非常に重要なことなのだ。