mediologic

メディアと広告とマーケティング、そしてサービスデザイン。

メディア/コンテンツビジネスの未来とメディアの四類型

後輩と話をしていたのだが、彼は iTuneMusicStore から『LOST』という海外ドラマを楽しんでいる iPod で。ちなみに今の最新の iPod はご存知のようにビデオが見れて、しかもそれをテレビ出力できるっていうシロモノになっている。放送された翌日には iTMS 上で購入できるようになっているため、(英語さえわかれば)字幕付日本語版待つより早いし、しかもレンタルビデオより安い($1.99ぐらい)。しかも返しに行く手間もいらない。あと、Podcastingと結びつければ定期的なダウンロードが可能になるので「1クールいくら」なんていう売り方も当然可能になる。こうなってくると広告料金の問題が出てくる。広告主からして見れば、「iPodで見てる人が増えたら視聴者数減ってるんじゃないか?それなのに料金据え置き?あるいはあげるなんて!」ってなるだろう。さて。。。google と iTunes が生み出した本当の価値は、「情報制作・配信コストの低下」という状況であると言っておきたい。。これまでのメディアは配信するにも、制作するにも多大なコストがかかっていた。それを取り戻すために大きい収入を得なければならない。それゆえに広告料金がそれなりに高額になっていたのだろう。と、逆の発想をしてみると、これから先のメディア/コンテンツビジネスの未来が見えてくる。google も iTunes もグローバル規模で開発コストを回収できるし、人工衛星を張り巡らせるようなインフラも必要なく、インターネットという著しくコストの低いインフラを利用することができる。それゆえに、そこで提供されるサービスは非常に安価になり、広告も低価格で出せるようになり、コンテンツも安価に提供されるようになる。また、何より、google も iTunes もロジスティクス上、在庫をもたない、という素晴らしいビジネスモデルになっているのだ。在庫をもたない=コンシューマのニーズに応じたサービス展開、なのである。コンシューマのメディアの摂取形態って4つに分類され、それぞれがメディア(ビジネス)に照らしあわすことができる。(1)ライブ型摂取 Live Media Consumption
(2)タイムシフト型摂取 Time-Shifted Media Consumption
(3)オンデマンド型摂取 On-Demand Media Consumption
(4)デリバリー型摂取 Derivery/Subscription Media Consumption
(1)は今のテレビをライブで見ること、ラジオをライブで聴くこと(2)はテレビ番組をHDD/DVDレコーダーとかにとってあとで見ること(3)はアーカイブ化されてるものを見たいときに見ること(4)は新聞やRSSやpodcastingのようにメディア側から定期的に届けられるもの全てのメディアはこの4類型に当てはまり、これに応じてビジネスモデルが決定される部分も少なからずある。iTunes/iPodにおいては、(2)(3)(4)が安価に提供されることでビジネスが成立している。このようにテクノロジーの進歩を、「情報コスト」「コンシューマのメディア消費」という視点から見れば、新たな時代のメディアビジネスを構築する様々なアイデアが出てくるに違いない。