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mediologic

メディアと広告とマーケティングと。

オープンだけでは物足りない〜ソーシャルメディア利用の結果、再発見したメーリングリストの価値

つらつら

ネット、社会調査、マーケティング業界では老舗のメーリングリストに「インターネットサーベイML」(以下surveyml)というのがあって、萩原雅之さん(現・トランスコスモス株式会社エグゼクティブリサーチャー/マクロミルネットリサーチ総合研究所所長)が運営されている。1997年に設立され登録者は約5000人ぐらい。その頃から活躍されている人たちの集まりなので、知恵・知見・考察の集合体となっている。

思い起こせば、この”エムエル”に参加するようになったとき、僕はまだ博報堂の営業職。大学院時代に社会学・社会調査を学び、広告業界に入ったので、非常に自分にとっても興味を満たしてくれる”コミュニティ”だった。その後、電通、Googleと都合3つの会社を経て、独立して2年超。このような”おいしい”転職機会に恵まれたキッカケは紛れもなく、自分自身が大昔に書き始めたこのブログと、この surveml でマーケティングや調査、広告・広報の業界の先達・関係者たちと触れ合うことができたからであることは間違いない。

ただ数年前より投稿される内容がセミナーの案内や訳の分からない「議題」を投げ、まともに議論しない人物がいたりで辟易してしまってだいぶ前に退会してしまった。

そして、ここしばらくは、twitterやfacebookなどいわゆるソーシャルメディアを使っての情報配信・交流が増えてきた。とくにtwitterではこちらの意見・考察を気軽に「つぶやく」ことができ、いろんな人から「RT」や「リプライ」をいただくことで広範囲な意見交換ができているように思う。しかし一方で、特にtwitterにはそのオープン性ゆえに、色んな意見を聞ける一方で、自分のツイートに対するRTやリプライが、マーケティングや調査、広告・広報の文脈を踏まえないまま行われることがあり、意図しない解釈の結果による批判や目線合わせに苦労することも多々ある(ほっといたらいいやん、とも言われるがw)。

オープンすぎるソーシャルメディアは時として「コンテクストレス」な状況を生み出す。

その経験を重ね、ソーシャルメディア上では自分自身の意見・興味関心を他に拡めることはできたとしても、それを他の方の意見により、弁証法的に思考を進展させることは難しいなと感じてきていた。

アメリカでは Quora という「ソーシャルQ&A」と呼ばれる、専門家レベルのQ&Aがスレッドおよびソーシャルメディア的な構造の中で展開されるサービスが生まれてきている状況を見ると、ソーシャルメディア先進国である同国においても、オープン性とその中でのトピックス形成及びそのスレッドの質において疑念が生まれてきたのではないかと推察される。

日本でも一部のソーシャルメディアコンサルタントの意見を見ていると Quora というサービスを、

「専門家に意見が聞けるサービス」

と解釈をしているが、それはソーシャルメディア界隈の狭小な視点にすぎない。僕はこのサービスの価値は、

「専門家同士が自分たちの意見をスレッド化+ハイパーカード的構造の中で(弁証法的な)より高次な回答を見出すサービス」

と考えている。つまりソーシャルメディアでのオープンすぎるゆえに議論の中で生じやすい「ノイズ」を極力抑えることができると。

surveyml というメーリングリストは5000人のマーケティング、調査、広告・広報に興味がある人の集まりで(しかも年齢層が高いw)、この中で行われる議論はオープンなソーシャルメディアにおける「コンテクストレス」な議論に比べて、ある程度共有できる知識の下地がある上で、より発展的な議論が行われる可能性が高い。メーリングリストの再発見を、twitterやfacebookの利用を通じてできた。

当然、近しいながらも違うバックグラウンドを持つ人がいるので、近似的な多様性をもった人々の意見議論が飛び交う。そしてそれが知識を拡張するだけでなく、思考を刺激する。

再び登録をしてたった数日だが、surveyml上で起こった”ある”議論を通じて久々に伸びたというスレッドを見ながら上のようなことを考えた。

オープンだけでは物足りない。